「実質,既にこうなのかも.」レディ・プレイヤー1 ちゃんあつさんの映画レビュー(感想・評価)
実質,既にこうなのかも.
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VRというデバイス観点で見ると,いやいや…となる場面も多い本作品ですが,実質的には既に充分こうした世界観の上に我々は暮らしているのではないか,ということを考えてしまう作品です.いや,むしろそれが言いたいことなんでしょうね.
たとえば借金のカタにVR奴隷にされる,なんてシーンについて,VRで爆弾を埋めるなんて強制労働を見ていやいやそんなことあるかと思ってしまいます.しかし,退屈で生産性のない作業を,UIばかり洗礼されたソフトウェアによって,さも有意義なように「させられている」ことなど,今の社会の有様なのではないでしょうか?
というのも,ここ最近我々はDXだのなんだのと,ITという手段を目的にしてしまい,目的がなんであったのかを忘れてしまいがちです.私たちはバーチャルに対して,リアリティや効率化などを盲目的に期待し要求してしまいますが,それは一体なんのためになのでしょうか?
そうした観点では,本作品は本質的には近未来なんかではなく現代を描いたもので,ネットに支配されるのではなく,手段としてネットの良い部分と共生しながら,目的である人間性を忘れずに生きていこうと,そんなメッセージを感じるものでした.
ところで,悪役ソレントおじさんの残念さについては,批判するよりも自分がそうならないか恐ろしく感じさせられるものです.ソレントさん,儲けることに必死のピュアなサラリーマンなんですよね.なので本作品で一番可愛そうなのは彼で,明日は我が身のように感じてしまいます.
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