ダンケルクのレビュー・感想・評価
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誰もが主人公
防波堤、海、空とあらゆる角度から storyが進む リアルな臨場感あふれる作りに 音楽も大きく関わっている 常に音楽がその場面に応じた音が 心情を表す様に鳴り響いている 空からの映像が素晴らしくて 空の青さと海の青さのコントラストが 美しくて戦争映画なのにと思ってしまうほど 兵士の 人間模様も生きるか生き残れるかの 選択に選択させられる緊張感と 死と向き合いながらの緊迫感 …生きて母国に帰る! 兵士の誰もが強い意思あって そこから脱落してしまう兵も沢山 兵士たちの生きるための闘い この兵士たち全員が主人公 どこまでも 諦めない覚悟が皆にある 運よく奇跡的に帰国できた 撤退してきた兵士は 住民からの温かい言葉が掛けられ また国を守るため新たな戦いに出る 遊覧小型船の船長は 海をことをよく知っていて 人の命を一番としている ……心惹かれる …戦争を 淡々と描くことで 誰に対しても 客観的に観ることができる ノーラン監督の史実物としての作品。 上手く作られています
映像とサウンドデザインが素晴らしいノーラン印の秀作
クリストファー・ノーラン監督作品には珍しく104分の尺が観やすくてイイ フランスのダンケルクという地でドイツ軍の進軍・砲撃によって海岸線に追い詰められた英仏軍が史上最大の脱出作戦を敢行する様をひたすら描き続けるストーリー展開、いわゆるドンパチのバトルシーンで構成される戦争映画とはちょっと毛色が違います クレジットも出てきますが、陸での1週間・海での1日・空での1時間の出来事を描いている事を理解しないといけません それを更に細切れにしてクロスカッティングしているため、その大前提を理解していないと終始何やってるのか全然解らず大混乱が生じると思いますが、それだけ理解できれば基本シンプルな話なので映像とサウンドに集中できるかと思います ほとんどが攻撃&逃げまどう戦争シーンで構成される本作ですが、よくある戦争ものみたいに身体の一部が吹っ飛んだり、無差別に銃が乱射されて兵士が撃たれまくり、血がドバドバ出る描写は全く無く、ただひたすら淡々とやるだけなので、とても観やすいとは思います
これは映画館で観たかった…!!
全編通して、臨場感えぐい!!主観の映像が多くて、登場人物と一緒に戦場を体験する映画! 特に、重油にまみれたまた海に投げ出され、波の上は炎、波の中に入れば溺れ死というシーン…!すごい画だった 内容としては、祖国のために働くお仕事映画もしくは、祖国への帰還劇!ラストシーンのナレーションと映像が、また深い味わいになっている気がする。 フランス兵だから、ドイツ兵だから、や階級によって、船から追い出される、船に載せて貰えない、というのは海上戦ならではだし、ミリタリー映画らしい緊張感があった。 印象に残ったのは、ファーストカットの、ヒラヒラと舞い落ちるビラと街並みと後ろ姿の美しさ!「これはただのミリタリー映画ではないな!?」という期待感! あと、ダンケルクから帰還する大型船、ダンケルクへ向かう小型船がすれ違うシーンもよかった あと、もうダメか…ってとこで、小型船が次々と向かってくるシーン! ミリタリー映画ながら画がめちゃ美しかったな〜! 時間のギミックで遊ぶ感じも、ノーランらしさも全開だったな〜! 時間も100分ちょいと、かなり短い尺なので疲れすぎず、体感型のエンタメ映画として大変楽しめました!
怖いけど何か心動かされる
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第二次大戦で英仏連合軍がドイツに攻められ、軍の10万人が孤立する。
国は本土決戦に向けて救援軍を出さず、民間に救出を依頼した。
大きく分けて次の3つの群像劇から成る。
英国陸軍の8人組が脱出船に乗るも撃沈され、オランダ商人の船を奪う。
しかしうち1人が実は仏兵と分かり、重量オーバーのため下船させようとする。
そんな折に乱軍になってみんな何とか助かる。
依頼を受けた遊覧船の船長が命がけでダンケルクに向かう。
で不時着したパイロット2人を助け、さらにダンケルクで大勢救出。
しかし事故で乗組員一人が命を落とす。他にも民間船が集まり大救出劇に。
戦闘機3台が救出作戦の援護に向かうが2人が撃墜され海に不時着。
彼らは上記で救われる。そして残り1人が敵戦闘機を撃墜。
これにより救出作戦は一定の成功を得る。
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やはり戦争は怖いなって思うなあ。色んな狂気が生まれる。
劇場で見たんで、銃弾の音が正直怖かったわ。
みんな助かってって、祈るような気持ちになってしまう。
しかし敵は戦闘機が出るだけで、陸軍も近くにいるはずなのに姿を見せない。
一体どこに敵がいて、どうやってそれから逃れたのかよう分からんかった。
あと日本みたいに生きて帰った兵が叩かれることなく、
よく生きて帰って来たって国民に歓迎されるのが象徴的、これが嫁の感想。
予備知識が必要
説明を極限まで省いた、ダンケルクでの救出劇を描いた作品。ある程度の予備知識を持って鑑賞した方がわかりやすい。 同じ時間軸でいろんな角度から話が進む。似たような兵士が出てきて(顔が汚れてるからか)区別がつかず少し混乱。 動員された民間船が犠牲を払いながらも、兵士への敬意を持って使命を果たすのに胸打たれた。 ゴジラ-1.0でオマージュとなってる場面ありとのことで鑑賞。
3つの視点の臨場感と生死の境
砂浜1週間、救助に向かう船1日、空軍1時間を平行して描きながら、最後に時間軸が交わって合わさるという手法。無駄なセリフや説明を極力省いた映像、カットでシチュエーションや心情を描く。砂浜には、救助を待つ40万人の兵士。相手の攻撃に対しては無防備で、怯えていて戦う意
欲は低い姿で描かれる。船の視点は、民間人が様々な船を持ち寄って徒手空拳で救助に向かう感じ。途中、兵士を拾うが、メンタルやられていて暴力振って、そのとばっちりで弟が亡くなるも、一言も責めない。戦争のせいでそうなった理解していても、ちょっと不自然?父が早く関われば、何とかなったのでは? 船の視点は、兵士を第一に考える、何でも助けてあげたいという心情か。空の視点では、限られた燃料、壊れた燃料計に関わらず、自分のことは後回しにして、メッサーシュミットや相手の爆撃機を撃墜していく英雄的な扱い。実際、最後はエンジンが止まった後も良い仕事をする。
兵士を乗せた掃海艇(砂浜から脱出した脱出した兵士含む)が爆撃されるところで、3つの時間軸が交わる。あのシーンをそれぞれの視点から見ると、こういうドラマが進行していたのかっていう面白さ、物語の交わる感じがあった。神の視点で見れば、こんな感じなのかもしれない。
自分は、満潮を待つ船のシーンが印象に残った。船の横腹に穴が空き、敵の射撃訓練?と騒ぎつつ、穴から浸水。穴を塞ごうとした兵士は銃弾に倒れる。船から出れば人がいることがばれる。そのままいても浸水して沈没。エンジンを動かすが、人がいることがばれるわけでハチの巣へ。上官がいずに、助かろうとしている場面では、合理的な判断ができずに、「お前が先に行け」という、なすり合いになるっていうのがリアルだった。
また、戦場における生死の境は、数十センチ。ちょっとずれていれば砲弾や銃弾の餌食になっていたって描き方も、戦場を雄弁に語っていた。
こういう戦地からの脱出劇をリアルに描いたという意味では、恐らく始めてであろうし、3つの視点をリアルかつ丁寧に描いていて、戦場にいるかのような、確かに監督が言う通り体験的な映画であった。
感情が揺さぶられるということよりも、実際の戦場で脱出しようとする際に起こっていることを重層的に描こうとしたという映画か。
ノーラン印戦争映画
ずっと重苦しい空気が流れ続けて、メインキャストたちが果たして無事に救出されるんやろかとずっと不安に駆られながらの2時間弱でした。 時代は第二次大戦、イギリス、フランスの連合軍がドイツ軍によって北フランスにある港町ダンケルクに追い詰められ、時のイギリス首相チャーチルの決断でダンケルクからの救出を試みる兵士の数なんと40万、大型船を着岸させるための桟橋なども空爆を受けてますます追い詰められていく中、軍艦だけでなく民間の船も兵士たちの救出に向かう、というお話。 実際にあった話なので、おおよそのアウトラインは把握できているものの、もちろん救出前に亡くなった兵士も数多くいたわけで、果たして彼らはどっちなのよ、とハラハラの連続。 実際そうなんだろうけど、敵兵の姿はほぼ描かれず。唐突に思いもしない方向から攻撃されるのでこれまたドキドキさせられる。 空からの攻撃にはイギリス軍も迎撃部隊が活躍したりもするけど、やっぱり敵の姿は分からず撃墜しても、あー飛行機落ちていくなーという描写。 描きたいのは敵のある戦いなのではなくて、いかに死と隣り合わせの状況で、死への恐怖で飲み込まれそうになる狂気に抗いながら、それぞれが生き延びたのか、ということなのかな。そういう意味では、ラストはふんふんなるほどね、と落ち着くところに落ち着いた感じになったと思う。戦争映画にしては後味はそんなに悪くない。 少しだけ時系列をいじったノーラン風味は加えられているものの、史実ベースなのでいつもよりは控えめな感じ。 ここがらしさと見るか別にいらんかなぁと見るかで若干評価は変わるかも。私は後者かな。 トータルとしては時間も含めてギュッと凝縮した感じになっているものの、中身は濃いし緊張感半端ないので、これ以上尺長かったら持ちまへん…。
ダンケルク・スピリット‼️
この作品は21世紀に作られた最高の戦争叙事詩だと思います‼️監督は天才クリストファー・ノーラン監督‼️描かれるのは第二次世界大戦で史上最大の撤退作戦と呼ばれる「ダンケルクの戦い」‼️ 降伏勧告のビラが兵士に降り注ぐオープニング。ドイツ軍の銃撃を受け、主人公トミーだけが走り逃げて広い海岸に出る鮮やかなシーン。海水に半分浸かりながら救助を待つ兵隊たち、その列に容赦なく浴びせられる爆撃。3機が編隊を組んで大空を滑空するスピットファイア。大海原を同胞の救出に向かう民間船。魚雷を受けて沈没する掃海艇と兵隊たちのパニック描写。重油まみれの海に浮かぶ無数の兵隊たち。夕陽に照らされながら不時着するスピットファイア。浜辺に散乱する無数のヘルメット。スピットファイアを燃やし捕虜となるパイロット、などなど‼️ とにかく一つ一つの構図とフレームが、練りに練られた印象的なモノで、加えて65mmフィルムで撮影されたらしい美しくリアルな映像と、凄まじい音響効果と視覚効果でもたらされる緊張感と臨場感はハンパないです‼️実際にドイツ軍の爆撃から逃げ回り、救助のため船を駆り、スピットファイアで敵機と交戦し、沈没する船で溺れちゃったような臨場感‼️これにノーラン監督一流の時間的サスペンスが加わります‼️これまでも「メメント」では逆行、「インセプション」では夢の階層ごとの時間経過、「インターステラー」では宇宙航行での時間的な歪みといった "時間" を重要な要素として取り入れてきたノーラン監督が究極のタイムスペクタクルとでもいいましょうか。描かれる陸海空の攻防の中で、陸:防波堤で救助を待つ兵隊たちの1週間、海:民間船で兵隊救助に向かう人々の1日、空:撤退作戦を支援するため飛び立つパイロットたちの1時間‼️この異なる3つの時間軸をシンクロさせて、3つの視点を切り替えながら描く手法‼️パイロットが見る民間船、民間船の船長が見るスピットファイア、民間船に救助される兵隊を援護するスピットファイア‼️それぞれの進行時間の中でそれぞれの視点から繰り返し描くその手法はまさに天才の仕事ですね‼️美しいシンセサイザーの音色に心洗われる音楽も、崇高的で格調高いと思います‼️この作品で描かれた事は "ダンケルク・スピリット" というイギリス人の誇りとして語り継がれているらしいのですが、ノーラン監督が素晴らしいのは連合国の勝利を描いた一方で、勝利は犠牲なしでは得られないことを明確に表現したことだと思います‼️救助された兵隊たちの一方で、担架で運ばれる兵隊たち‼️陸と海での救助作戦を援護、自らは燃料切れで敵方の捕虜となってしまうパイロット‼️カッコいいぞ、トム・ハーディ‼️まさしく名作ですね‼️ 2023年9月10日現在、未だ上映日未定のクリストファー・ノーラン監督最新作「オッペンハイマー」‼️早く観たい‼️被◯国日本だけにいろいろな事情があると思いますが、配給会社の皆様の英断にチョー期待‼️
ダンケルクの名誉ある撤退
ダンケルクの名誉ある撤退(1940年5月26日~6月4日)
ドイツ軍に完全に包囲されたフランスのダンケルク。
その10日間。
英国陸軍2等兵のトミーがドイツ軍に襲撃されて、
たった一人生き残り、ダンケルクの浜にたどり着く。
そこまでの「陸の一週間」
ドーソンなどの民間船が救助に向かう「海の一日」
6月4日のイギリス軍の戦闘機に襲いかかるドイツ戦闘機を
迎撃する「空の1時間」
その「陸・海・空」の戦いががクロスして描かれる。
異様なほどの緊迫感と臨場感そしてラストに従って起こる高揚感。
撤退という後退を描きながら、戦意が高まっていくのは何故だろう。
ケネス・ブラナーのボルトン海軍中佐。
英国戦闘機スピットファイアのパイロットのトム・ハーディ。
その他の大物俳優はほとんど出演していない。
多くは名も無き若き兵士たちだ。
だが、この映画の何が新しいのだろう?
ともかく新鮮なのだ。
ともかくリアルなのだ。
今そこで起きてる戦闘のように、迫ってくる。
多分、カメラだ。
撮影がいい。
目の前、手の届くすぐそこに兵士がいて、戦艦に魚雷がぶつかり火を吹き
海は火の海。
兵隊はゾロゾロと船底から出てきて、船から這い出す。
夜の海に浮かぶ兵士たち。
本当に6月4日の穏やかな海で良かった。
凍えるほど寒くない。
呑まれるほどの高波もない。
不幸中の幸いかな。
ハンス・ジマーの音楽は主張せずに寄り添う。
メロディ・ラインよりオーケストラの低い響きを優先する。
「ダンケルクの救出」
居合わせた40万人の兵士のうち33万五千人が
救出されました。
名誉ある撤退。
民間船に応援を要請したチャーチル及び連合軍の指揮官。
この民間船(貨物線、漁船、遊覧船、救命艇にヨット)
民間船は沖で待つ駆逐艦に兵隊を乗せてピストン輸送。
この撤退作戦を【ダイナモ作戦】と呼ぶ。
ダイナモ・ルーム(ダイナモとは発電機のことで、
ドーバー城地下の海軍の指揮所の一室)
そこにイギリス海軍の中将ラムゼーが作戦を計画し、チャーチル首相に
ダイナモ・ルームで作戦を説明した。
民間船と民間人が救出劇に参加して、大きく貢献したことで
連合軍の士気は大いに盛り上がったのでした。
ダンケルクの戦いを今に伝える映像が素晴らしかったです。
ダンケルク、と聞いて
キーラ ナイトレイ主演 つぐない を思い出した。 故郷に帰れるのかわからない絶望の海岸で、途方に暮れる英国兵たち… ドーバー海峡を挟んだわずか数十キロ先の我が国に行けるのは、運、なのか。 砲撃を受けて海に投げ出される英国兵を見るたびにそう感じた。 また、あえての少ないセリフ、主人公を明確に定めないような、陸海空、それぞれのドラマ… 個の限界、戦争のもたらすどうしようも、ない大きさが感じられた。
満点のちょうど半分くらいの評価です。 時間を編集して工夫されている...
満点のちょうど半分くらいの評価です。 時間を編集して工夫されているため、難しく感じます。そうする必要性が感じられませんし、センスが良いとも思いません。 陸海空それぞれ迫力があるので好きな映画です。 円盤の特典映像(時系列バージョン)を観たら評価が変わるかもしれません。
脱出という勝利
まずは兵士たちの行動を追体験しているかのような臨場感のある映像に驚かされる。
兵士めがけて発射された銃弾や爆撃のリアルさ。
もちろん銃弾は目には見えないが、金属などにぶつかる破裂音や船倉に空いた穴の描写がとても生々しい。
またこの映画では何度も登場人物が海水に飲み込まれそうになる。その恐怖もとてもリアルに感じられる。
ただこの映画は戦争のリアルをそのまま描いた作品ではない。
もちろん戦争の悲惨さを伝えてはいるが、ノーラン監督らしい時間と空間の使い方に工夫が施されており、編集の巧みさが観る者にある錯覚を感じさせる。
物語は三つの視点から展開する。
まずはダンケルク海岸に取り残されたイギリス兵とフランス兵の視点。
兵士を救うためにダンケルクを目指す小舟の船長たちの視点。
支援のために飛び立った三機のスピットファイアのパイロットたちの視点。
そして時間の流れも、それぞれに陸では一週間、海では一日、空では一時間と異なっているのに、あたかも同じ時間軸で展開されているように描かれている。
これがこの映画のトリックであり、観る者に差し迫る緊迫感を与える。
この映画はそれぞれのパートのある時間を凝縮して描いているのだ。
だから実際には陸の兵士たちは、救助を待つために一週間という長い時間を強いられているにも関わらず、映画の中ではまるで怒涛のごとく追い立てられているように感じる。
加えて陸と海と空のそれぞれのシーンがまるでリンクしているかのような描写が、映像にさらなる緊迫感を与える。
沈没する船から脱出する兵士の恐怖心と、海上に不時着したスピットファイアのパイロットが海水から逃れようと焦る姿が重なる。
さらに最後の一機のスピットファイアのパイロットも燃料切れとの戦いに焦らされる。
実際はドイツ軍側もダンケルク海岸に残された兵士たちに対し、全面攻撃を仕掛けられずにいたらしい。
そして民間の小舟が一斉に兵士の救助に向かったという史実もないらしい。
しかしこの映画は、ドイツ側の爆撃は差し迫ったものであり、兵士たちを救出しようと小舟が一斉にダンケルク海岸を目指したように見せている。
これを嘘と捉えるべきか、映画の見せ方の上手さと捉えるべきか。
同じシーンを別の角度から何度も描くのもかなり効果的であると感じた。
視点が変われば見え方はまったく異なる。
突き詰めればドイツ側にも正義があり、また違ったドラマが見えてくるのだろう。
だから戦争には真の正義などないのだと思う。
そして戦争で戦うことは決して名誉なことではない。
沈没する戦艦から危険を顧みずに兵士たちを助け出そうとしたギブソンという新兵。
後に彼は戦死したイギリス兵に扮したフランス兵だったことが分かるが、英雄的行為はまったく報われず、イギリス兵に罵られ、最後は沈没する小舟の中から逃れられずに命を落とす。
ダンケルクに向かう小舟に同乗したジョージという青年。
彼も戦争で何かの役に立ちたいと願ったが、ダンケルクに行き着く前に戦場には戻りたくないと暴れた兵士の巻き添えで命を落としてしまう。
彼らの死はとても虚しい。
最後にこの映画を観て第二次世界大戦中の日本とはまったく価値観が違ったのだと思わされたのが、ダンケルクの脱出に関する記事の内容だ。
記事はイギリス兵の脱出を勝利と報道していた。
どんな状況でも生き残ることが尊いのだ。
燃料切れで不時着したパイロットのファリアが、ドイツ兵に囲まれ捕虜にされようとも、前をしっかりと向いて生きている姿に心を打たれた。
どちらかというとダイナモ作戦
撤退戦の心情と感情のリアリティ。 セリフがほとんど無い。 時系列が分かりにくい。 映像、音は迫力あり。 ドイツ軍の描写が航空機以外無くて違和感。 沈没の恐怖。 撤退戦に興味があれば見るのあり。
リアルな兵士
実際に戦場にいた一介のヒラ兵士にとって前線とはこうなんだろうという
リアルさを観ているこちら側も味わったようだった。
上層部は自分たちを何の意図があってどうしたいのかもよく分からず、
目の前の助かるかもしれない何かに
必死にしがみつくしかない。
頭の良さや人柄の良さや勇気あるなしは生死を左右するものではない。
とにかく細い運をなんとしても掴むしかないのだ。
苦労した英雄も本国に無事帰還してめでたしめでたしとは終わらない。
特定人物の紆余曲折に伴う感情と感動を求めてるとガッカリするだろう。
その一方で無理に盛り上げるドラマよりも、
一歩引いてクールに映し出したもので観客が自由に考えたらいいという
好みの人にはたまらなくハマる作品。
IMAXで撮影されており、最大限活かされた鑑賞を望むならIMAX推奨。
乗り物酔いしやすい人は普通の2Dをお勧め。
戦闘機の旋回や船の揺れが常に画面にあるのでその点は注意。
でもパイロットと船乗りのカッコよさにグッときます。
臨場感
前に「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」でダイナモ作戦について知り興味を持ったので本作を観てみた。 結果、作戦遂行の現場に居合わせたかのような臨場感だった。 現場の人々と同じく、作戦そのものについての詳しい説明はない。 視聴者は救助に向かう民間船の中とダンケルクの港で帰国船を待つ若い兵士の傍らの2箇所を行き来して、彼らと共に祖国に帰ることになる。 ダンケルクの戦いを描いた映画は沢山あるようなので、現場での緊迫感、名もなき英雄達の姿、非常時の集団心理などの戦争の幾つかの真実を、体験するように観るというノーラン監督の作戦もありだと思った。 役者陣の好演も光っていた。
Take Me Home, Country Boats. 時間の相対性を、戦火の三面鏡が映し出す。
1940年に行われた「ダンケルク撤退作戦」を、異なる三つの側面から描き出した戦争映画。
監督/脚本/製作は「ダークナイト・トリロジー」や『インセプション』のクリストファー・ノーラン。
ダンケルクへと向かう小型船舶に乗り込んだ青年ジョージを演じるのは、『ベルファスト71』『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のバリー・コーガン。
戦闘機スピットファイアでダンケルクの撤退作戦をサポートする英国空軍パイロット、ファリアを演じるのは『インセプション』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のトム・ハーディ,CBE。
同じく英国空軍パイロット、コリンズを演じるのは『否定と肯定』のジャック・ロウデン。
防波堤で撤退作戦の指揮を取る海軍将校、ボルトン海軍中佐を演じるのは『ハリー・ポッターと秘密の部屋』『シンデレラ』の、レジェンド映画人サー・ケネス・ブラナー,CBE。
ジョージ達に救出される英国兵を演じるのは「ダークナイト・トリロジー」や『インセプション』のキリアン・マーフィー。
英国陸軍「高地連隊」の二等兵、アレックスを演じるのは大人気ボーイズグループ「ワン・ダイレクション」の元メンバー、ハリー・スタイルズ。
ファリアとコリンズが所属する小隊の指揮官の声を演じているのは「ダークナイト・トリロジー」『インセプション』の、レジェンド俳優サー・マイケル・ケイン,CBE。
音楽は「ダークナイト・トリロジー」や『インターステラー』の、巨匠ハンス・ジマー。
当代一の人気監督クリストファー・ノーランにとって初となる歴史劇。
描くのは1940年6月に起こった「ダンケルク撤退作戦」(通称「ダイナモ作戦」)。イギリスではかなり知られた作戦らしいのだが、私はこの映画を観て初めてこの戦いを知りました。へー。
この戦いのすぐ後、ナチス・ドイツによってフランスが占領されるのですね。そんでもって1944年、『プライベート・ライアン』でお馴染みの「ノルマンディー上陸作戦」が決行される、と。なるほどなるほど。
こういう戦争映画を観ると、なんとなく歴史に詳しくなって、なんか得した気分😊
ノーラン映画というと、どの作品も無駄〜にシリアスというか、みんな眉間に皺を寄せてウンウン唸っているようなものばかりで、「もっと気楽にやろうぜ…😅」と言いたくなるのだけれど、今回は歴史的な事実がそもそも超絶煮詰まったものであるため、このノーラン特有の辛気臭さが気にならない。作中の出来事のシリアスさとノーランの作風がピタッとマッチしていたので、超進退窮まった物語なのにも拘らず、むしろこれまでのノーラン作品の中で一番ストレスなく鑑賞出来たように思う。
「ノルマンディー上陸作戦」と対をなす「ダイナモ作戦」。面白いのはノルマンディーを描いた歴史的名作『プライベート・ライアン』と、ダンケルクを描いた本作もまた、対称的なものになっているということ。
『プライベート・ライアン』では登場人物の内面描写や血みどろでドラマチックな戦いに重きが置かれていたのに対して、本作では人物の内面描写や大規模な戦闘はほとんど描かれず、ただただダンケルクという地で起こったこととその結末が語られていく。
セリフも少なく、登場人物の性格や出自どころか名前すらもほとんどわからないような作品なのだが、その無機質な構造が戦争というシステムの巨大さや凶暴さ、そして何者でもない若者の人生を無作為に飲み込んでいく不条理さを強調しています。
戦場にはヒロイズムも綺麗事も存在していない。そこにあるのはただ、「故郷へ帰りたい」という想いだけ。
このあまりにもシンプルな戦場描写/人物描写が、千の言葉よりも雄弁に人間心理の本質を語っている。
本作は陸(防波堤)、海、空の三つの側面からダイナモ作戦を描き出している。
戦争映画において、一つの戦闘を複数の側面から描くというのはまぁ割と常套手段。
わかりやすい?例だと『機動戦士ガンダム』のクライマックスも、アムロvsシャア、カイ&ハヤトのモビルスーツ戦、ホワイトベースでの白兵戦が同時に描かれていた。
しかし、この映画の特殊性は、三面それぞれの時間の流れが違うところにある。
陸(防波堤)は1週間、海は1日、空は1時間と、停滞している状況では時間の流れが早くなり、高速で動いている状況では時間の流れが遅くなるという、相対性理論の基本原理を映画内の時間に落とし込んでいる。
これは常に「時間」を題材に映画を撮り続けているノーラン監督らしいアプローチではあるが、それを戦争という状況下に当て嵌めて作劇するというのは、まぁ見事という他ない。
「時間の操作」というと何やら大仰に聞こえるが、これはどの監督でも自然に行っていること。2時間の映画で2時間しか時間が進まないなんて、そんな映画の方が珍しい訳で。
しかし、ノーランの面白いところは、それを根掘り葉掘りほじくって映画を作っちゃうところ。
つまり、彼にとっての映画作りとは、時間をどこまでいじくりまわせるかの実験に他ならない。
映画が進むにつれて物語がこんがらがって訳わからなくなるというのはノーラン作品の特徴だけど、これは映像を弄ることこそが彼にとっての主題であり、物語は二の次くらいに思っているからなんだろう。
その点、本作は時間を存分にいじくりまわしながらも、物語が最後まで破綻せず綺麗に纏まっている。
作劇の巧さという点においては、ノーラン史上最高傑作と言って良いのではないでしょうか!✨
まぁ正直言うと、大規模な戦闘場面は無く、ひたすら兵士が水責めにあっているという場面が続く映画なので、面白いか面白くないかでいえばそりゃ面白くはない😅
とはいえ、ダンケルクの絶望的な状況を観客に伝えることには成功しており、息が詰まるような鑑賞体験ができるという点においては、他の戦争映画以上のユニークさを持った作品である。
もしこれが2時間30分とか3時間とかのランタイムだったのならBoo👎と言いたくなったかもしれないけど、106分というちょうど良い時間に収めてくれていたから全然オッケー👍
ノーランのフィルモグラフィーの中では地味な作品だけど、むしろこういう映画にこそノーランの資質は活きるのではないでしょうか?グロいシーンも無いし、万人にお薦めできる作品です♪
クリストファー・ノーラン監督ならでは
歴史を描いてもやはりクリストファー・ノーラン監督らしさ満載だ。 ダンケルクの市街地と浜辺の美しさ、そして空・陸・海の時間軸の交差具合は、鬼才ノーラン監督ならではというところか。 少ない会話とリアルな音響が、この歴史の緊迫感をより効果的に再現していたと思う。 クリアな映像と不思議な淡々さ、とても印象的な作品だ。
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