「命を救うことの意義」ダンケルク abukumさんの映画レビュー(感想・評価)
命を救うことの意義
戦争映画としては異色。そこが面白い。
まず、最初から最後まで「負け戦」……撤退の戦い。その表現の仕方が秀逸。
敵軍の作戦や意図など全く描かない。ただ、銃撃してくるメッサーシュミットや爆撃機の落とす爆弾・魚雷が恐ろしい!
必死で生き延びようと逃げる英兵の1週間の主観がベースに進み、そこに船を出して救いに来る民間人の1日と、スピットファイアーで撤退を援護する英空軍パイロットたちの1時間がかぶってくる。
「ダンケルクの戦いの謎」などにも全く触れない。なぜ、ドイツ軍の機甲師団が海まで追い詰めてこなかったか?フランス海軍はなぜ助けに来なかったのか?
そんなこと、今を逃げている英兵には関係ない。
まさに、戦争を「体験する」映画だ。だから、ドルビーシステム、IMAXが必要だった。
ダンケルクの海岸から命からがら逃げ帰って救われた多くの英兵・フランス兵に素直に喜びの声を伝えたくなる。遊覧船やヨットで助けに来るドーバーの人たちは気高いけれど、愛国映画ではない。
「生きて帰ってくれてありがとう!」これが戦争の現実のなかで言いたいこと。
日本には、こんな戦いはあったのだろうかと思う。戦争は醜い、決して許されないというけれど、国家はいずれ戦争を用意する。人命より、体制維持が大事だから。
もし、戦争が始まったとき、こんな人命への戦いに参加をしないと後悔する。
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