劇場公開日 2017年9月9日

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「IMAXとDolby Cinemaを体感するための作品」ダンケルク 藤崎修次さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0IMAXとDolby Cinemaを体感するための作品

2020年8月4日
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クリストファー・ノーランといえばIMAX。話題作「TENET」の前宣伝を兼ねて再上映されているので鑑賞。

ドイツ軍の包囲網からの命からがらの撤退戦なのに肝心のドイツ軍の姿が全く映らないという実録戦争映画としては奇抜で斬新な試みだが、代わって戦闘の緊迫感を音で伝えようとしているのが本作の特徴。

アカデミー賞で音響部門の賞を複数取っただけあって腹の底からズンズンと響いてくるような戦闘音などは、その辺のスペクタクル映画とは一線を画す。

映像的には、燃料が尽きたスピットファイアが黄昏時の海岸線をゆっくりと滑空している様が美しくて印象的だった。

終盤、帰還した兵士達に毛布を配っている盲目の老人が一人だけ顔に触れて自分の息子かどうかを確認していたシーンも「戦争とは何ぞや?」を問い掛ける、なかなか示唆に富んだ深いメッセージ。

キャストの中では、ボルトン中佐(ケネス・ブラナー)が切迫した場面でも常に大局観を見失わないリーダー然としていてカッコ良かった。

ただ、陸海空それぞれの作戦がごちゃごちゃになった展開は見づらいし、分かりにくいのがマイナスかな。

藤崎修次