劇場公開日 2017年9月9日

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「人間礼賛」ダンケルク nagiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人間礼賛

2018年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

緊張と解放のコントラストによる、ラスト20分のカタルシス...何度見ても溜息が出るほど素晴らしい。

冒頭から、爆音で響き渡る銃声、爆発音、悲鳴...
キャラクターの視覚、聴覚をシンクロさせることにより臨場感を演出し、途轍もない緊張感を持たせている。

随所で心臓の鼓動がバックグラウンドで響いているのも、我々にストレスを与えている。

同一状況における、時間的スケールの違う3場面を、1つに結びあげる構成も新しい。我々は、その精神的持ち様に従って体感時間は変化する。ある者はそれが1週間の出来事であり、ある者は1日、ある者は1時間の物語であるのだ。それは彼らがダンケルクにおいてどれほどの恐怖とプレッシャーの下で戦っていたのかを我々に示す。生死が隣り合う状況においては、1週間は100分程度に感じるのかもしれない。

そして大いに話題になった『ウィンストン・チャーチル』がかの有名な演説で国民を纏め上げ、実現した奇跡の救出劇「ダイナモ作戦」。

時計の針が止まり、緊張の糸が途切れ、解放へと向かう。
守るはずの国民が救ってくれ、そして讃えてくれる。
チャーチルの全員で戦い助け合い讃え合うことが、勝利なのだ。

生きているだけで充分だ。
これは戦争礼賛ではなく、人間礼賛の映画である。

nagi