「戦場の音、大多数の本能の群れ、砂粒の英雄」ダンケルク 勝山高尾さんの映画レビュー(感想・評価)
戦場の音、大多数の本能の群れ、砂粒の英雄
IMAXにて観賞。初体験だったのですが、凄いですね。とりあえず見終わった後にものすごくお尻が痛くなったw、と言うことは、こころだけでなく身体も消耗していたのです。飛び交う弾丸の音や爆撃の音、何かが軋む音、破壊された音など、この世であまり頻繁には聴きたくない音のオンパレードかつ、終始不穏なBGM。いちいち身体が反応してしまうほどでしたので、戦場で魚籠ついている二等兵の如しでした。
あれで、PTSDにならない方がおかしいですよね。
ストーリーやキャラクターについては、割愛w、史実通りの所も有るでしょうし、誇張した点や創作した点もあると思われます。
個人的には、ストーリーが解らないのが面白い所だと思いますし(と、言ってもキチンと最期には集約されてます)、主要キャラクターが例え全員戦死していたとしても、憤りやドラマの無さを責めることは無かったと思われます。本来、古来より戦争でドラマが生まれるのは、生き残った者がいるからだと思います。しかし、特に近代に入ってから国家が、国民国家の概念が成立してから、ドラマがないと戦いを始めることすらできなくなってしまいました。また戦争が、国民とゆう膨大な人間を基にしているが故に数字に囚われすぎたからとも云えますが。
つまり、この作品の肝や裏のメッセージは、戦争でのドラマなんて、フィクションか後付けなものであり、数字なんて、さらに不気味なものに過ぎない~ということではないでしょうか。英雄的行為は、萌芽にすぎず兵士はただただ死んでいくばかりー特に撤退戦ですからね。
星を4つとさせて頂いたのは、僕みたいに、近現代の戦場を実際に参加してる雰囲気を味わいたい変態は少なく、一般的な受けがどうか?という点と、制限がかかっているとは言え、子供には見せられないかな?という点を引かせて頂いただけで、僕にとっては満点の映画体験でした。ただ、身体が痛くなるので、もう一度映画館で見るとなると、、、今度はぎっくり腰になるかも知れないww