「ただの恋愛映画ではない。全ての人にみてほしい。」世界一キライなあなたに はるさんの映画レビュー(感想・評価)
ただの恋愛映画ではない。全ての人にみてほしい。
評価:★★★★★ 96点
『世界一キライなあなたに』鑑賞。
前情報なしで鑑賞することをオススメするので鑑賞後、読んでくれると嬉しいです。後半ネタバレします。
感想は圧倒的な素晴らしさです。ただの恋愛映画ではなく、重く、深く、とても考えさせられる作品で、こんなにも泣けて、観入ってしまった映画は『グリーンマイル』『アバウト・タイム』以降で久しぶりです。生涯ベスト10の作品です。
障害者となって、部屋にふさぎこんでいたウィルがルーのお喋りと明るさで心をとかしていく過程が本当に素晴らしいです。
ルー役のエミリアクラークさんは一緒にいたら絶対元気になると確信できる存在感があり、眉毛と服装がとてもチャーミングで可愛い!! ハリウッドで私が最も好きな女優さんです。
彼女を見ていると介護の本質を改めて考えさせられてしまいます。というのも、介護の仕事はトイレ介助とかお風呂介助などをイメージする方も多いと思いますが、大事なのは介助者の気持ちに寄り添うことであって、介助者を笑顔にするのが大切だと改めて、この作品を通して感じました。 『最強のふたり』と共通点が多くある点も、注目すべきポイントだと思います。彼等は友情、こちらは恋愛です。儚く、切ない、外国人の恋愛模様を堪能できるでしょう。
そして惹かれあって行く2人ですが、恋仲となり、ハッピーエンドというわけではないのです。
ここからネタバレです。
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この作品が最も伝えたいメッセージは「尊厳死」です。
公開後、多くの障害者活動家やレビューアーから、この作品に対して非難の声が寄せられています。賛否が分かれることは恐らく監督もわかっていて、この作品を製作したと思います。私はこのラスト好きでした。
否定的な意見に、障害のある人生は悲惨で死んだ方が良いという固定概念を植え付けてしまうのでは? ウィルは残された者の気持ちを考えていない?などの意見がありました。
私はウィルが尊厳死を決断するポイントが物語には多くあったと感じます。もともとは、大金持ちであり、天才で、運動神経もあり、美人な彼女と、人生の勝ち組であった彼が突然、首から下をほとんど動かすことの出来ない身体になってしまった。もちろん自ら死を選ぶことはあってはならないと私も感じますが、最終的には「彼の求む幸せ」が最も尊重されるべきです。様々な生きる選択肢は提示し、周りがサポートしても、彼の中でそれが望むべき人生でなかったとしたら、彼は生きていると言えるのだろうか? この作品を通して1つの選択肢に尊厳死があっても良いと私は感じました。
映画の中でも、ルーの家族は「そんなことを容認する親は人間ではない」と非難する描写もあります。
鑑賞者にだけわかる、死のうとする息子の母親の苦悩もしっかりと描けていたと思います。
この問題はどうしても感情論のぶつかりあいになる為に、ラストは良い意味で賛否が分かれる良い終わり方だったと思います。
ただ、1つだけマイナスポイントがあります。ハリー・ポッターでお馴染みのネビルロングボトムを演じたマシュールイスが登場しますが、私は全くもって必要のないキャラクターであると感じました。
それ以外は冒頭にも書きましたが、間違いなく傑作です。
映画を観たいと悩んだら、ぜひ鑑賞を!!
オススメです。