「.」死霊館 エンフィールド事件 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。原題"The Conjuring 2"が示す通り、『死霊館('13)』の続篇で、舞台をロンドンの最北端に位置するエンフィールドに移し、その三年後を描く。オ-プニングから流れる様な滑らかなカメラワーク。何気ない日常から怪異が徐々に忍び寄り、一気に盛り上がるが、前作より捻りの利いたストーリーでビジュアル的にも上回っている。ラストもアッサリとして後味も佳い。表層をなぞるだけのホラーやスリラー、サスペンスが多い中、莫大な予算やド派手な設定に頼らずとも成立すると云ったお手本の様な快作。75/100点。
・少し調べれば、或る程度、掌握出来るが、事実と虚構の曖昧さもこのシリーズの魅力の一つと云える。絵画にも登場する“VALAK”はM.マンソンにソックリだった。
・一旦、このジャンルの卒業を宣言したJ.ワン監督が『ワイルド・スピード SKY MISSION('15)』を撮った後、続くかなり高額のギャラに加え好条件で提示された『ワイルド・スピードICE BREAK('17)』のオファーを蹴って、本作を撮った。これにつき、「或る日、続篇のアイデアが閃き、居ても立っても居られなくなった」と監督は答えている。
・前作同様、ラストでクレジットと共に実際の画像と演者との比較や劇中の一齣が紹介されるが、各画像の切り替え時、スライド映写機や不気味な画像がフラッシュバックの様に短く写される。
その中、"Costume Design by Kristin M. Burke"とのクレジットにエド夫妻がTV出演してる画像とテント前の床に置かれたゾエトロープの画像に"Music by Joseph Bishara"とクレジットされる間にスピンオフ作も作られた呪われた人形“アナベル”が数カット短く挿入されている。尚、この“アナベル”はこのシリーズに登場したキャラクターであり、実物の画像ではない。
・登場する奇妙な動きをする“へそ曲がり男”はCGIやストップ・モ-ション・アニメ等ではなく、J.ボテットによるもので、彼はこの独特の動きで、『エイリアン:コヴェナント('17・カメオ出演)』、『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女('17)』、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。('17)』等、他作にも活躍の場を拡げている。亦、この“へそ曲がり男”を据えたスピンオフ作が、"The Crooked Man(仮題)"として製作が進められている。
・作中でも触れられている通り、P.ウィルソンとV.ファーミガ演じる“ウォーレン”夫妻は2~3日しか問題の家に滞在しなかったが、この案件に関する(現在絶版扱いの)共著もあるS.マクバーニー演じる“モリス・グロス”と“G.(ライオン)プレイフェア”は一年以上、滞在し調査をした。この二人による本作と同じ現象を扱った調査は、本国英国で"The Enfield Haunting('15・原題)"としてTVドラマ化されている。
・鑑賞日:2018年2月17日(土)