「恐怖、苦しみの中で確かなものとする人間愛」死霊館 エンフィールド事件 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
恐怖、苦しみの中で確かなものとする人間愛
待ってました、「死霊館」続編!
前作はジェームズ・ワン監督現時点のベスト作、ハリウッドホラー近年屈指の傑作と断言して良し!
ゾクゾクゾクゾク、心地よいくらい恐怖を楽しませて貰った。
ハリウッドホラーはシリーズ化されると恐怖も面白さも下落するものだが、
今回も怖い!そして面白い!
“ホラー・マスター”の称号は揺るぎ無し!
前作は戦慄の実話が基になっていたが、今回も実話が基でさらに上回る恐怖…。
イギリス・エンフィールドで1977年から1979年まで史上最も長く続き、“ポルターガイスト”の名を知らしめた事件。
ウォーレン心霊学者夫婦さえ「地獄を見た」と言わしめた、“最恐”ポルターガイスト。
とは言え映画的には、ネタも見せ方も前作とそうは変わらない。
しかしながら、前作同様のオーソドックスな恐怖演出が今回もまた秀逸。
ブランコ、消防車のおもちゃ、リモコン、椅子、ベッド、箪笥…ポルターガイスト現象の代名詞である“一人でに動く物”は勿論として、
夜中、“二人言”を喋る次女。
“誰か”が居るテントが気になってしょうがない弟。(何度も何度も覗き見するようなカメラワークが巧い)
消えたTVの画面に移ったソファに座る不気味な○。
じわじわじわじわ抑えて煽って、子供たちに恐怖を味わわせ、パニックになって母親に助けを求めた時…!
家族まとめて恐怖のどん底に叩き落とす。
が、これらポルターガイスト現象は“手先”に過ぎない。
陰で支配していたのは…!
前作が好きだった理由に、ただ怖いだけじゃなく、恐怖の中に人間ドラマがしっかりと描かれていたから。
勿論今回も。ドラマとしての深みはもっと増している。
ポルターガイスト現象が襲いかかるシングルマザー家族。女手一つで4人の姉弟の子育ては大変。そんな時、次女に…。
再び、ポルターガイスト現象と対するウォーレン夫妻。エドが死ぬ予知夢にロレインは…。
怖れや引き離す霊の力。
それに抗い、試され、確かめ合い、より一層強くする家族愛、夫婦愛。
彼らを苦しめるのはポルターガイスト現象だけじゃない。
否定論の専門家、自作自演と見なす疑い…。
真偽のほどは分からない。
しかし、彼らが苦しめられていたのは事実だ。
現象に、あらぬ疑いに。長きに渡って。
それこそ本当の地獄の苦しみ。
ホラー映画としては異例の2時間超えだが、気付いたら終わってたくらい。
今回も最高の恐怖と、上質の人間愛ドラマを。
前作のアナベル人形の代わりとなるモチーフ的な存在として、ウォーレン夫妻の家にあるあの絵。
アナベル人形並み…いや、それ以上。
怖すぎでしょう…。