歌声にのった少年のレビュー・感想・評価
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ラマ・バダ・ヤタサンナ Lamma Bada Yatathanna
彼等の唄の訳が出ないのはどうして?
姉のお話はフィクションの様である。兄弟姉妹はいるようだが、『愛のないAI』は事実とは限らないと言っている。但し、『愛のないAI』はあてにならないので。なにしろ、『続・荒野の用心棒』について聞くと、『クリント・イーストウッド』主演の『セルジオ・レオーネ』監督だって。
兎に角、ドバイで活躍するIDOL。でも、ガザ地区の支援はしているので、大変に評価しにくい。が、しかし、訳を入れてもらいたい。
アマルはなんでヒジャブ(?)を被っていないのだろう。
前編と後編に分けるべきだったね。
悪くないと思うが、話を盛り過ぎる。今はもっと悲惨なんだから。大変に残念な映画だ。
『リトル・ダンサー』ダネ。
それとインドの映画にあったなぁ。女の子が何かの唄を歌って優勝する話。題名忘れた。
アマゾン ミュージックではムハンマド・アッサーフは引っかからない?どうして?
『故郷は我々のもの』内政干渉出来ないので。なんとも言えないけど。訳を最後に入れた意味が分かった。
内政干渉は出来ないけど、この映画見なくても、ガザ地区はあなた達のものだと思う。そこに自由に出入り出来ない事が問題なんじゃないかなぁ。
我々の世代だと、〇ラファト議長に対して、余り良い印象を持っていない人達が、日本には沢山いる。
日本には
日本⭕️軍がいたからね。実際何をPL〇とやったかは定かで無いけど。
【”スターになって、この悲惨な世界を変える!”パレスチナ・ガザ地区で育ったムハンマド少年が亡き姉との約束を遂げポップスターになる過程を描く。今作に出演している方々の現況下での無事を祈りたくなる作品。】
ー ガザ地区出身のポップスター、ムハンマド・アッサーフの実話を映画化したヒューマンドラマー
■パレスチナ・ガザ地区。
紛争の絶えないこの地区で、ムハンマド少年はスター歌手になって世界を変えることを夢見ていた。
そしてガラクタで作った楽器を手に、姉・ヌールたちとバンド活動を行う。
が、ヌールは重い腎臓病に侵されてしまい、幼くして命を失う。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・パレスチナ・ガザ地区。ご存じの通り、イスラエルの入植後”パレスチナ自治区”であったこの地では紛争が止まない。
今作でも、両足の無い人、片足を失った人たちが映されている。
・2005年、ムハンマド少年は姉ヌールたちと”スターになって世界を変える”という目標の元、音楽を始める。
ムハンマド少年は、天性の美声の持ち主だったが、姉の死により夢は亡くなったかに見えたが。
・2012年。青年になったムハンマドはタクシー運転手をしながら、大学へ行こうとしていた。そんな中、「パレスティナ・スター」という大会を勝ち抜いたムハンマドは、エジプトで行われる「アラブ・アイドル」に出場しようとする。
検問所では、その美声により通る事を許され、チケットがない状態の中、彼の美声を聞いたチケットを持った青年からチケットを譲られる。
・だが、ガザの人達の想いを知るムハンマドは、勝ち登って行く中でプレッシャーによりパニック発作を起こしてしまう。
その時に、飾ってあった姉ヌールの写真が、彼に勇気を与えるのである。
<余りにも、出来過ぎたスター誕生のように物語は進むが、最後半、実際にムハンマド・アッサーフが「アラブ・アイドル」で優勝した時の映像が流れ、その報を聞いたガザの人達の熱狂的に喜ぶ姿を見ると、素直に感動してしまうのである。
今作は、出演している方々の現況下での無事を祈りたくなる作品でもある。>
海と空と風と歌声と子供の笑顔、ガザで撮影した映画だったとは。
前半、子供の笑顔と楽器を探したり、みんなで演奏する姿が実に可愛らしい映画。
子供の生き生きとした眼差しが忘れられない。
海がキラキラして風や光をリアルに感じました、とてもきれいなところだな~と。
歌はね、文化の違いでね、日本の民謡みたいな曲だな~とか思ってしまいました。声の出し方とか伸ばしかたがね。声はきれいでよく伸びる声でした。
子供~大人になる成長物語でもあり、景色もキレイで幸せな気持ちなる映画です。
映画全体がキラキラしています。
笑ってしまうような箇所もあり、暗い雰囲気は全くありません。
ガザの実話だと知っていて見に行ったのですが撮影もガザでしていたとは思いませんでした。その後、このような大きな悲劇に見舞われるとは想像もしませんでした。
中東はいつも揉めているよね、程度にしか当時は考えていなかったんですよね。
もう何年も前に映画館で旦那と見ました、ガザで撮影していたんですね。
とてもキレイな風景が忘れられません。
タイトルがとても可愛かったので見に行くことになりました。
奇跡や偶然が重なり夢は叶います。
安心して見れるサクセスストーリです。
日本はイスラエルとパレスチナとそれぞれでの独立を支持しているけど、欧州が絡むと難しいのでしょうね。
今回の件にだけスポットをあてるとハマスが先にしたことになりますが、報道されない部分も多くあるので何とも難しいです。
ハマスの前政権はイスラエルを国として承認していましたが、ハマス政府は否認したことから、欧米諸国はハマス政府をテロリストとしました。イスラエルは2006年ハマス政府の議員と閣僚の30名超を拘束します、その後、2006年ハマスはイスラエル兵 1 名を拘束しました。
イスラエルって、北方領土と同じですよね。
暴力的に乗り込んでいき住み続けることで国として承認されてしまう。
国として世界が認めること自体が問題なんだろうな。
日本のお隣の国はロシアだから決して他人事でもないんだよ、北海道に来たら怖い。
映画はね、とても素晴らしい映画でした。
キラキラした生命力を感じる映画だっただけに、現状がとてもつらいです。
テンポ良く進むので飽きません。
カメラも私としては良かったです(カメラワーク苦手な映画もあるので)。
内容良い映画なのでおすすめです。
映画の中の美しい景色が垣間見れるガザ地区に、早くもどりますように。
冬休みに子供と見るかな、dvdでてるかな。
追記:イギリスbbcでは、ハマスをテロ組織とは言わないそうで、事実だけを伝えているそうです。イスラエルの前身は◯◯派だという説もありますが報道規制がある日本で真実を探すことは難しそう
パレスチナ・ガザ地区で撮影されたこと自体に驚き
本作のモデルになったのは、人気オーディション番組エジプト版「アラブ・アイドル」に出場し、2013年の“アラブ・アイドル”に輝いたムハンマド・アッサーフ(公式サイト)。実際にあったことをベースにし、ロケも爆撃の続くパレスチナにて撮影。これがいかに凄いことかは画面だけ見ても分からないかもしれない。ベイルートやカイロの大都会の映像も出てくるが、それは近代都市。
ストーリー展開は前半と後半で大きく二つに分かれるが、個人的には前半の少年時代の頃の子どもたちの夢と現実の間で生きていく日常が印象に残った。後半は青年になった主人公とオーディションに勝ち上がる様子が描かれているが、実際にはこの時の方がとても危ない状況であるにも関わらず、歌が素晴らしいの一言で解決するのが物足りなかった。
コンテストがテレビで放映され、勝ち上がっていく様子がパレスチナに知れ渡り、オリンピックのようにパレスチナ人の期待を背負って立つことになってしまう。そのプレシャーは相当のものがあっただろう。ただ歌が歌いたい少年が誰かのために歌わなければならない。
結果からみればサクセスストーリーだが、その苦悩は計り知れない。
ガザのアイドル
アラブアイドル(Arab Idol)で優勝したムハンマド・アッサーフMohammed Assaf。ガザの難民キャンプ出身のパレスチナ人で、子供の時(2005年)から優勝するまでの話。
彼は声の伸びがよく、歌の上手さは良くわかるが、歌詞がなく意味がわからない私にとって、コーランを唱えて歌にして、それにダンスの音楽を加えたようで、まったく馴染みのないトーンだ。インドのダンスをするような音楽にも似ている。彼はラマッラーRamallahというウエストバンクにあるパレスチナの町ののど自慢大会(歌の競争)に出たいが、ガザのパレスチナ人はそこに行けず、スカイプで歌を歌うことになる。どころが停電になってしまったうえに、電気を起こす発動機すらも煙を吐く始末。コンサート会場では、これをイスラエルの攻撃と解釈して放送したのが愉快。結局、この歌合戦は失敗に終わってしまう。
この映画で監督の配慮に敬服。我々はガザは知っているかもしれないが、エジプト(Al Arish)とガザストリップが繋がっているトンネルなどしらないし、Ramallahというウエストバンクにある街も『テレアビブ オン ファイアー』で撮影所があるパレスチナの町だと知っていたからわかった。、私にとってあまり著名な土地がないから、土地勘みたいのものがない。彼が、ベイルートで決勝を迎える時もベイルートとの表示がでていなければ、ベイルート行きの飛行機に乗ったと言ってもとっさにわかりにくい。観衆に土地勘を与える意味でも大変いいと思う。それに、監督はアラビア語と英語でスクリーンに表示してくれているので、ムハンマド・アッサーフMohammad Assafの動きがよくわかる。パレススチなの映画を広めることにより、人々に意識してもらえるので、イスラエルイスラエルという国々からも、もっと注目される良い方法だ。個人的な話だが、イスラエルの国旗はサッと描けるが、パレスチナ国(?)自治区(?)の旗はすぐ描けなかった。
感激したところはビザなしでガザからシナイ半島(エジプト)を抜けて『アラブアイドル』が行われるエジプト、カイロには入れないが(Rafah の検問所ーで働いている小さい頃の友達がエジプトに行かせてくれる)、ああだこうだあったが、彼はみんなのサポートを得て、カイロに会場までたどり着く(2012年)。カイロでのパーフォーマンスの喝采ぶりはパレスチナのいい意味でのナショナリズムがここに出ている。そして、これは虐げられて、動きがとれずガザ(撮影もガザではできなかったらしいし、イスラエル軍の目が光っていたところもある)という監獄の中にいるような人たちに、特に若人に『望み』を与えた。この重い期待にムハンマド・アッサーフMohammad Assafはパニック症候群を起こしてしまう。“We’ll be big and we’ll change the world!” と姉のノア(Nour)言葉は現実になったと思う。少年(若人)よ大志を抱け!
Mohammed Assaf 役だが、本人が演じればよかったと思うが、多分、費用や彼のスケージュールなどが合わなかったんだと思う?かれは、外交のパスポートで海外コンサート(慰問活動?)を行なっているらしい。
Arab Idol - الأداء - محمد عساف - على الكوفية で検索して聞いてください。
Mohammed Assaf - Aarhus, Denmarkで検索するとかれのデンマークでのコンサートの模様がわかる。
ハマダッタ(Mohammad Assaf)はアラブのバンドと(Awtar Band - Maestro: Jacob Atrash )(一緒にも歌っている。このトーンが好きになったら 私もアラブ音楽通になれるかな。アラブって言っても広いからね?
Arab Idol - الأداء - محمد عساف - على الكوفية で検索して聞いてください。
Mohammed Assaf - Aarhus, Denmarkで検索するとかれのデンマークでのコンサートの模様がわかる。
タイトルなし
実話に基づくサクセスストーリー
ストーリーは想像できたけど
パレスチナ ガザ地区
紛争が絶えないこの地のことをニュースでは見聞きしながらもここでの生活は想像すら出来ない…
国…人種…宗教…
わかりあえない壁があるのかもしれないけれど、映画を通して、音楽を通して心に響くものが沢山
5本ぶりに好きな映画が観られてホッ😌
子供達の印象的な目…表情が忘れられない
消してしまうところだった
パレスチナの映画って事で観ないで消そうかなっと思いながら流し観したら、ちょっと面白そう。最後は感動で心が震えました!アラブの歌は聞いたことがなかったが、言葉がわからなくても、伝わってくるものがあった。
アラブの歌というのも味わいがあるものですね
アラブの歌というのも味わいがあるものですね、日本における演歌のような位置でしょうか?最初の方はそれほどこれが奇跡の歌声なのか?などと思っていましたが、候補に上がってからのち、皆の期待が高まって行く映画の興奮との相乗効果でか、味わいのある素晴らしい歌声に魅了されました。同時に、パレスチナのガザ地区の厳しい現実を知り、心が痛みました。歌がこんな力を持つことに感動です。
ガザのアイドル誕生実話
主人公は小さいころから歌がうまく、美声にみんな聞きほれていた。
パレスチナのガザ地区で生まれ育ったため、出国も難しかった。
テレビ番組の「アラブ・アイドル」に出るためかなり危険な思いをする。
最近の実話なので淡々と進行するが、ガザ地区で暮らす大変さは伝わる。
だんだん心地よくなっていく
イスラム文化圏の音楽のオンパレード。聞き慣れない音楽が、だんだん心地よくなっていく。
イスラエル ガザ地区の不幸を痛感できる映画。そして歌声だけで、そこから抜け出す主人公の冒険譚。実話をもとにしているとのことだが、ストレートに感動できる話。事実は小説よりも奇なり の典型か。
●パレスチナ人、世紀の賭け。
感動の実話。これを奇跡と呼ばずして何があるか。
幾多の壁を乗り越えて、パレスチナに光を灯してくれた。
そしてパレスチナ久々の勝利。ホントにうれしかっただろう。
世界中の沈黙でできた壁を乗り越え、よくぞ。
きっとヌールも喜んでいることでしょう。
過酷な現実に、夢物語が光を射す。
ガザ地区は今なお紛争に巻き込まれている地域だ。その土地に生まれ育った子供たちにとって、未来は未来ではなく夢は夢ではない。一歩外へ出ればそこはもう瓦礫の山、という、あまりにも過酷な環境の中、そこに光を指す人物が登場する。
「歌声に乗った少年」は、アメリカン・アイドルのアラブ版「アラブ・アイドル」に出演しチャンピオンを勝ち取った、ガザ地区出身の青年の物語だ。ちょっと「スラムドッグ・ミリオネア」に近い観点だが、実話だという。ガザ地区は特別な規制のある区域なので、土地の外に出るだけでも特別な申請と許可が必要で、ビザすらまともに下りない現状が映画の中でも描かれる。一人の青年のサクセスストーリーの後ろで、紛争とそれに巻き込まれる青年たちの現実がしっかりと描き出される。純粋な少年の歌声を堪能する音楽映画みたいな邦題がついているが、これは列記とした戦争映画なのである。その戦争を描く上で、一人の美しい歌声とその勝ち取った栄光がカギを握る。過酷な生活を送る人々に差し込んだ強く眩しい光として、青年が栄光の階段を一歩一歩駆けあがっていく。その様に、人間の「生」を感じ取る。また彼の歌声からも。ハーラムという歌の特性かも知れないが、彼の歌にはどこか「神事」を思わせる神聖さがある。ここで青年の歌う歌はまさしく神事。神への祈りと怒りとが入り混じったような歌が天に昇る。ガザ地区で生まれ育ち、その過酷な半生のすべてが歌にこもったかのよう。そして彼は国境を潜り抜け、オーディションに潜り込み、夢に少しずつ近づいていく。それと同時に背負うプレッシャーに潰れそうになりながらも、虚しい戦地に光を注ぐ存在になっていく。ガザ地区に住む人々にとって、彼自身がもはや神であり、夢であり、希望になる。そんな絵空事のようなことを、真摯に描く。心を打つ。そして最後に、アラブ・アイドルになった瞬間、ガザ地区が揺れんばかりの歓声を上げる。それは束の間の希望。しかし確かに輝く光。胸を打つ。涙が出た。それは、ほんのひと時、眩しさで現実を見えなくするだけの光かもしれないけれど、それでもそういう光が射す瞬間が、人々に勇気や生きる活力を与えたりするのは事実だ。不器用な作りだけれど、歴史と現実に、夢物語が勝つ瞬間を映画にした好例だった。
みんなで 夢叶えるお話しかと思ったら 1番才能を讃えてたお姉さんが...
みんなで
夢叶えるお話しかと思ったら
1番才能を讃えてたお姉さんが
病気に...
優勝した姿を
お姉さんにも
見てもらいたかったねっ
歌声にのった少年
感動のあまり涙してます。今でも歌手としてだけでなく、国連パレスチナ難民救済事業機関青年大使としても活躍中の「ムハンマド・アッサーフ氏」の生い立ちです。紛争のたえないガザ地区出身で、歌で平和をなしとげようとしている姿に感動です。
歌の重みに気がつく
パレスチナのガザ地区で生まれ育った歌の上手い少年が悲しい出来事を乗り越え、エジプトへと出国し、スターへの道を駆けのぼっていく。
この映画を通してガザの状況、隣国との行き来の状況など、様々なものが見えて来ます。
一番感動したのは、ただ歌を歌うのが好きだった主人公が歌は自分だけのものではないこと、祖国の皆の思いを担っている事に気がつき、その重さに押しつぶされそうになるシーンでした。
その後の彼の歌はその前よりももっと深みを増しているように感じました。
実際にガザで暮らす子供たち
厳しい現実に向き合いつつも、夢をもって生きている子供たちの表情はイキイキ。彼らの澄んだ瞳を見ながら、ああ子供たちを犠牲にしては絶対にいけないなとあらためて思った。
国境越えのシーンが印象的。あそこで彼の人生が変わったから。
ただ、全体的には「オマールの壁」のほうが私は好みかな~。そのときの緊張感とか臨場感みたいなものが伝わってきたので。
自分の夢に向かいあう
主人公が一度は諦めたような夢にもう一度向き合おうと思って行動していく。困難だらけなのだが、彼の思いに応えてくれるような出会いや運があり、ガザを出てエジプトでのコンテストに出場する。プレッシャーに押しつぶされそうになる所や、ガザを出る時にビザが偽物である事を正直に話してしまう所、何回も出てくるビーチ、等身大の主人公と世界とつながる海、誠意、熱意が通じる世界を感じた。
祖国とはなんなのか
「祖国」という言葉を世界からなくした方がいいと主張すれば、世界中から反発を食らうだろう。しかしいまやグローバル化の時代である。ヒトもモノも自由に行き来する。映画をはじめとして文化も自由に国家間を行き来し、我々は他国の文化を存分に享受している。
政治家の二重国籍を追求するような幼稚な精神性の国もあるが、世界は、自国も他国も公平に均等に尊重する時代になりつつある。外国を居住の拠点として世界中で活躍している人も多い。彼らにも祖国はあるが、祖国に拘泥する生き方はしていない。どこに生まれたかよりも、現在の自分の存在そのものを優先しているからだ。
祖国という言葉は、故郷という言葉に似ているが、ひとりの人間の故郷が他の人間の故郷に対立しないのに対して、ひとりの祖国は他の人間の祖国に対立する意味合いがある。つまり、故郷同士が戦争をすることはありえないが、祖国同士は戦争をすることがあるのだ。
それは故郷という概念が人それぞれの記憶の中に存在するものであることに由来する。同じ地域の出身者でも、時代が違えば故郷は異なる。山が削られ海が埋め立てられて、工場やらビルやらが軒並み建ってしまったら、その前と後では同じ故郷とは言えないのだ。故郷という概念はどこまでも個人に帰属する。
対して祖国は、厳然として存在する共同体であり、帰属意識も高い。しかも排他的である。祖国の対義語は異国であり、すなわち敵国だ。必然的に同調圧力も高くなり、国民の精神性が国に依存することになる。近代の戦争は、指導者が祖国という概念にまつわる精神性を利用して、自国民を戦場に送り込んだのだ。
国家という共同幻想を相対化し「祖国」の呪縛から精神を解放する時代にならない限り、世界から戦争が終わることはない。国家と故郷は異なるのだということを理解しなければならない。
この映画の主な舞台はパレスチナであり、とりわけガザ地区だ。度重なる戦争の歪みを未だに背負い続けている地域である。そして祖国同士の争いを現実の被害として被っているのがパレスチナの難民だ。主人公ムハンマドが運転するタクシーの窓から映し出される破壊された街の様子が生々しい。片脚あるいは両脚を失った人が街のいたるところに何人もいる。そんな難民にも日常生活があり、束の間の平穏もある。しかし子供たちはガザに未来がないことを知っている。
映画は、歌の才能があるムハンマドがその才能を生かしてガザを抜け出す物語だが、インタビューを受けたムハンマドが「祖国」という言葉を万感の思いを込めて言うことに、世界の問題の深刻さがある。この映画は、自由を人間性を求める一方で、祖国の呪縛から逃れられない人間の張り裂けそうな悲痛の思いを比喩的に表現している。安易なサクセスストーリーとして受け取ってはいけない。
世界中の人が観るべき作品である。
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