「カエラさんの『向日葵』が心に沁みていく」バースデーカード とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
カエラさんの『向日葵』が心に沁みていく
TV的な演出がお好きなら、きっとドツボにハマる映画です。
エンディング後におまけがあります。席を立たないで。
モデルルームのような家。
豪華な病室。
美しい風景。
そこに展開される、ちょっとぶっ飛んでいるところもあるけど、それすらも、”こうありたい”と思いたくなるような父、母、娘、息子の物語。
母が若くして亡くなってしまうこと以外は。
コメディ的な要素も含みつつ、娘(ちょっと息子も)の成長譚が綴られます。
鑑賞者が観たいと思うような予測を、ちょっとはずしながらも納得してしまうシーンが次々と積み重ねられます。
正直言って、私の嗜好としては、もっとじっくり一つ一つのエピソードを腰を据えて見せてほしいと思いつつ、
いつの間にか、滝のように涙を流してしまいました。
TVでも良かったんじゃないかと思いつつ、TVだと集中して観られないから、映画館で観た方がいいと思います。CMを挟みこめるようなシーンとシーンの区切りもありますので見やすいです。
役者では、
宮崎さんは神がかり。光に溶けて行ってしまうのではないかと思うほど。
でも、子役との絡みは課題ですね。親ってね、躾けなければいけないから、いつも体当たり、あんなお人形のように接していられんのよ(私だけか?)。
母と子の結びつきが強そうに描かれているんだけど、小学校での出来事は母に話していないんだよね。どこの家庭でもあることだけど、”一般的”として、あえてどうして話さないのかと脚本・演出・役者もつきつめていない。だから表面的な関係に見えてしまう。
そう、CMで描くような非現実的な上っ面の理想の母子としては最高なんだけど、リアルさに欠ける。
その点、木村多江さんはすごかった。
思春期の娘とどう付き合っていけばいいのかわからないながらも体当たりしていた。
あれだけの出番っていうのは勿体ないかなあ。もっと紀子の成長に絡んでくるのかと思った。
まあ、二人の母子像が違うのも、”バースデーカード”を活かすための演出かな。
小豆島の母が娘に手紙を残したら、芳恵と紀子とは違う展開になっただろうから。小豆島の方がもっと地に足付けて生々しく、芳恵と紀子みたいなファンタジーにはならないだろう。
橋本さんは、どこにでもいそうな高校生~大学生を演じている。でも、キャンパスなんかだと、やっぱりオ―ラが周りと違う。ちょっと浮いちゃうのが難しいところですね。
紀子の小学生時代・中学生時代を演じた子役も良かったけど、
正男の小学生~高校生?大学生時代の役者がとても良かった。
そんな物語を木村カエラさんの主題歌が全て包んでくれます。いつまでも聞いていたくなります。
素敵な歌をありがとう。
試写会で鑑賞。ありがとうございました。