「役者がよい。」バースデーカード ラピさんの映画レビュー(感想・評価)
役者がよい。
今さらよくもこんなベタ過ぎる王道話を撮ろうなどと考えたなとは思ったがストーリーはともかく、役者とロケ風景がいいので観られた作品。
宮崎あおいはあの童顔に母親役がハマるのか疑問を抱いていたが
慈しみに溢れた表情と手紙を読む柔らかな声に癒された。
橋本愛は一見クールビューティな美少女系だが
この物語の中では地味で引っ込み思案な紀子そのもので最後の見せ所で見事に美しく成長した姿を魅せる。
弟の須賀健太は父親ユースケ・サンタマリアと共に
この作品のともすれば増長気味になりがちなベタなお涙頂戴展開に
笑いというスパイスを小気味好くぶち込み作風を軽やかな口当たりに仕上げていた。
中村蒼も静かで不器用な青年を好演し爽やかな青春時代に華を添えている。
子役の演技のぎこちなさに多少違和感が残ったが注目したいのは中学生時代の紀子を演じた中村ひなの。初々しくも伸びやかで今後の成長が楽しみである。
特に必要でもなさそうなシーンをわざわざエンドロール後に持ってくるのは蛇足に感じる。
ただのお涙頂戴物語にしたくなかった意思は強く感じられたが
テーマが食傷過ぎるほどに使い古され過ぎており、観れば満足度はそれなりにあるが
演出がファンタジーに寄りたいのか現実に添いたいのか曖昧でいまひとつ求心力には欠けている点が残念だ。
コメントする