「TVの2時間ドラマにすれば佳作だったが」バースデーカード ふまさんさんの映画レビュー(感想・評価)
TVの2時間ドラマにすれば佳作だったが
死を前にした母親が幼い子どもたちを案じ、自身は見届けられぬ子どもの成長の一助になればとしたためた手紙が、母親の死後、子どもが成人するまで毎年父親から渡されるという、変則的な家族愛と、子どもの成長を描いた物語です。作中に悪い人は(軽いいじめをしてきた小学生時代のクラスメイトを除いて)ひとりも出てこないし、娘は周囲の温かさに支えられて、引っ込み思案で脇役人生を望んでいた少女期から脱し、自信を身に着けた素敵な女性へと成長していくので、とても心暖まるお話で、泣けるところもあります。
なのですが、いかんせんTV局制作のTVドラマのクオリティーで(冒頭からブレブレのカメラに何事かと思った)、TV絡みというのが物語上も(『アタック25』!)切り離せないので、何故これを2時間ドラマで地上波放送せずにわざわざ映画にしたのか、甚だ疑問です。伏線を回収するのは良いとして、わざわざ伏線を仕掛けたシーンを回想シーンでもう一度持ってくるあたり、説明過剰なTVドラマ的だと言わざるを得ませんでした。
ファミリー向けとして観て損は無いですが、上映初日に200人以上のスクリーンで観客が10人いるかいないかという閑古鳥っぷりは残酷すぎますね。いろいろ難点を上げましたが、そこまでの駄作ではありませんので。
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