「シンプルな良さが消えた続編」ジョン・ウィック チャプター2 リリさんの映画レビュー(感想・評価)
シンプルな良さが消えた続編
冒頭、前作の事件の発端となった愛車を取り戻すシーンから始まるが、これは彼にとって、汚された妻との思い出を取り戻し、一連の因縁にけじめをつけるための最後の仕事だったのだろう。ただ、そこまで大事な思い出の象徴なら、やはり1作目で取り返しておくべきだったのでは、という疑問は残る。
前作で、掟よりもジョンへの信義を優先し、死を覚悟で助けたマーカスの格好良さとは対照的に、今作のジョンは「血の誓印」という掟に屈服し、主体性を失った姿が格好悪い。自分の意志ではなく、システムの駒として動かざるを得ない姿は、伝説の殺し屋のイメージとはかけ離れている。
このジョンの行動のせいで、サンティーノの筋書き通りに「殺される」ことを拒否し、自らの意志で死を選んだジアナの誇り高い選択が無意味になってしまった。彼女のキャラクターは非常に格好良かっただけに、この展開は残念だ。
伝説となっている鉛筆の話を引き摺りすぎたせいか、ナイフで刺すアクションが全体的に多用されすぎて単調に感じたのも褒められない。
純粋にアクションだけを楽しむ映画ということなのだろう。
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