劇場公開日 2018年2月24日

  • 予告編を見る

「グッときた。マクレーンやっぱり名優。」あなたの旅立ち、綴ります Marikoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0グッときた。マクレーンやっぱり名優。

2018年9月9日
iPhoneアプリから投稿

10代の頃『愛と追憶の日々』を観てシャーリー・マクレーンに衝撃を受けて以来のファンです。
彼女が主役、しかも、故人の訃報記事専門のライターの話ときたら、観ないわけがありません。

シャーリー扮する老婦人は、ビジネスでも大成功しお金には困らないけれど、一人寂しい老後を送っていた。
完璧主義の彼女は、ふと、自分が死んだ後の訃報記事を生前に作ってしまおうと考え、新聞社に依頼。担当になる若いライターが、『マンマ・ミーア!』の可愛いアマンダ・セイフライド。

彼女のことを知るべく、彼女作成の[知人リスト]を手にライターはさまざまな関係先に彼女のことを聞いて回るも、出てくるのは悪口や恨み言、悪態ばかり。

利己的でわがままで、皮肉屋で、やりたい放題の彼女は周囲にとても嫌われていた・・・

それでもなんとか第1稿を仕上げたけれど、もちろん却下。こんなはずはないと怒る彼女に逆ギレしたライターは『あなたの生き方が間違っている!』と一喝。
その一言で少しずつ彼女の心が動き始めて・・・
無理矢理社会奉仕したりするけれど、そう簡単には変われないのが人間。試行錯誤。

それでも、最初はほんとに嫌味で手強い女性だったマクレーンが、可愛らしい面も見せたり、ライターが彼女の過去をちゃんと調べてみると、男性社会の中に若い頃飛び込み、能力も努力も男の2倍なければ弾かれるような時代に、色んなことを犠牲にしながらも会社を立派に大きくした功績などを知るうちに、彼女を見る目が変わってきます。(若い頃のマクレーンめちゃくちゃ綺麗)

家庭においては、離婚して、喧嘩別れした一人娘にはもう10年以上会っていないマクレーンを強引に連れ出し、母親として向き合わせることに。
(涙の再会には程遠く、ほろ苦いシーンになるけど、かえって現実的でよかったw)

そしてライター自身も、母親に捨てられた過去に未だ縛られ、自分の人生を生きられていないことに少しずつ気づいていく。

おとなしかった彼女が、自分の殻を打ち破り、本当の自分の才能と魅力に気づいていく様は、とても爽やかな感動。ステキな恋人候補にも、自ら飛び込んでいく。笑顔がキラキラしてきます。
そして新聞社を辞め、エッセイを書きたいという夢を、臆せず、目指すことに。

一方で、このことがきっかけでマクレーンも人間らしい笑顔を取り戻し、親子のように仲良くなった2人。

そして、ついに最期の時が訪れる・・・

ライターが葬儀の場で、自らの言葉でマクレーンを悼む。最後はとてもいいシーンです。

『今までの人生は、これからの人生のための序章でしかなく、やっと、これから、自分の足で、思い切り生きていける。
彼女は、そのことに気づかせてくれ、勇気をくれました』

私は彼女の言葉を、そんな風に解釈しました。

自分のことがわからなくて立ち止まっている人に、ぜひおすすめします。

私も日々、故人さんの生い立ちや人となりをナレーション作文していますが、遺族や親戚さんに故人のことをインタビューすると、立場によって全然違う印象を受けたりと、色々なんです。

この映画を観て、あらためて、
【人の人生はつくづくさまざまで、奥深く、世間の見方はあくまで一つの面でしかなく、人間というのは他にいくつも面を持っていて、上っ面や言葉だけでは決めつけられないもの】なんだなぁ、と感じ入りました。

人間力と洞察力を磨きたい。

また頑張ろ。

Mariko