アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のレビュー・感想・評価
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民間人が巻き込まれぬ戦争なんてない。
あなたがそれを言うな!
鑑賞しなおせば、もっと早い段階で介入ポイントがあった。でも、それこそ、”最も安全な場”からの意見。後出しじゃんけんなら、何でも言える。
軍事×政治×法。
たった数人の捕獲に、政府の承認が必要なことに驚き。
他国での活動だからか。それが”警察”としての活動ではなく、”軍部”が主導しているからなのか。
確かに、他国への攻撃は、それが世界的な戦争になる可能性があるからなのだろう。軍部の暴走を阻止するには、良いシステムだ。
けれど、命の重み。
起こりえるであろう惨撃で失われる多数の命と、今失われる可能性が極めて高い一人の命の重みに対して、様々な意見が取り交わされる。
だが、それぞれが感じる命の重みは同じなのだろうか。
推定の被害者と、目の前の命に悩みながらも、自分の選挙や、マスコミの追求・批判とを、天秤にかける政治家と法律家。テロすらプロパガンダに利用しようとする政務官。
奨学金返済の代わりに、バイトのような期間限定でこの仕事に就いている兵士。
職業軍人として生涯を軍人として生きてきた中将と大佐。
キャリア組として、現場に出ることはなかったか、どのような現場を経て今の地位に着いたのかは語られていないが、今までのキャリアの中で、冒頭に協力者の死が出てくるように、途中で現地のスタップが命を狙われるように、自身も命を削る思いをしたかもしれない。部下を失くしたかもしれない。そんなことも含めての”任務”。テロ被害者や被害者の家族にも、実際に会っている人々。『ハートロッカー』が頭をよぎる。
ここまで来るのに、どれほどの危険を伴う任務を積み重ね、犠牲を払ってきたのか。
政務官が希望することを叶えるために、どれほどの犠牲が必要なのか。
これを逃せば、どんな阿鼻叫喚が広がるのか。
そしてまた、一からのやり直し。
同時に一人一人の思いの中にいる少女。一人の人間としての思い。
土産を用意した孫と、フラフープで遊ぶ娘。家族や、親しい知人…。
有名な「トロッコ問題」。
この命題に、犠牲者になりうるメンバーの中に、あなたの家族がいたら…。憎い知人がいたら…。
判断の基準は、皆同じようでいて、同じではない。
どんなに、ドローンからのリアルな映像を共有できても、そこから喚起されるものは同じものではない。
だからこそ、議論が必要なのだが、お互い、相手の考えを尊重しないままに、自分の立場・意見だけが主張される議論。
”プロ”としての経験がないがしろにされる世界。
何のために、何が必要なのかが、混乱する世界。
45%。被害が及ぶ範囲を数値化して検討する。
自爆テロが行われた場合の被害者も80人以上と推定される。
では、自爆テロが行われる可能性は?行われない可能性は?
すべてを数値化できるわけではない。
可能性が1%以下であっても、行われた場合はその時点で100%となる。
被害が及ぶ範囲とて同じだ。安全圏にいても、何がとんでくるかはわからない。
数字のマジック。
だのに、その数値が幅を利かす。
人権。
犯罪を犯した人にも、公正な裁判を受ける権利がある。至極まっとうな意見だ。
当たり前のことが、当たり前として通じなくなる。それが戦争という状態なのだ。
「少数の命を犠牲にしても多数の命を守ることを考えるのが、政治家。少数の命のために働くのが、宗教家」と塩野七生さんがおっしゃった世界は遠くなった。
これが正しいかは議論のすべきだが、こういう腹くくりができる人もいなくなった。
だからと言って、人の命を奪う行為は避けたい私もいる。
他のレビューサイトで指摘されている、原爆投下の問題。戦争終結を早まるため(とUSAは主張するが)とはいえ、投下が”仕方がない”行為だったとは絶対に認めたくない。
また、これも、他の方のレビューで気が付かされたが、被害者の家族がテロリストになる可能性もある。憎しみの連鎖。
判断は簡単ではない。個人の暴走がないように、判断基準の遵守は求められるが、マニュアルで対応できるようなものではない。
この映画を観て、テロに身を投じる人をなくすためにできることを探そうと思う私は、軍人にも政治家にも向いていないのだなとわかった。
『パラダイス ナウ』を見返したくなった。
ラスト、中将が部下におもちゃを渡され「ああ」と受け取って帰る後ろ姿。
その直前に、政務官へ強烈な一言を発して、会議室を後にした後の姿。
己の仕事を全うした、起こるべき悲劇を阻止した、国民をテロから守った、軍人としてのプライド。そのもう一方での感情。
後ろ姿で演技ができるリックマン氏。言葉がでない。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
このレビューを書いている2022年2月27日、ロシアがウクライナに侵攻している。
何故?どうして?大義名分すら見えてこない。完全に、ロシアからの一方的なわがままにしか見えない。(NATO云々とかいう話もあったようだが、それでなんでウクライナ侵攻?)
子どもを含む、民間人の犠牲者も出ていると聞く。死には至らなくても、日常の破壊。
プーチンは、”戦争の代償”をわかっているのか。判断する力が無くなっているのか。
日本にいるロシア国籍を持つ方をはじめ、関係している人は「NO」との叫び声をあげているが、ロシアの方々は何を思い、どうしているのか。支持しているのか、容認しているのか、昔の”東側”のように「NO」を言えない状況なのか?
NATOは何している?ということを言うニュースも見たが、これで他国が軍事介入したら、第3次大戦になだれ込む可能性だってある。『博士の異常な愛情~』の世界に入っていくのか?
戦争。どんなに精密な機器が開発されようと、それが、人々が生活する場で行われる限り、民間人が巻き込まれる可能性は0にはならない。
サバゲーのように、戦争やりたい人だけが集まって、戦争すればいいのに。なんて夢のようなことを考えてしまった。
【現代の対テロ戦におけるドローン攻撃の、”究極のトロリー問題”を緊迫感溢れるスパイ衛星からの映像で描き出した作品。観る側に現代の戦争における、重いテーマを投げつけてくる作品でもある。】
ー 「ゼロ・ダーク・サーティ」でも、「アメリカン・スナイパー」でも、テロ集団への攻撃は、鍛えられたネイビー・シールズが行っていた。犠牲を払いつつも・・。
だが、今作で、テロ集団”アル・シャバブ”(英国人、米国人も在籍)を攻撃しようとするのは、遠隔地にいる、パウエル大佐(ヘレン・ミレン)達英国軍である。ー
◆感想
・これが、現代の戦争なのだろう。”世界一安全な戦場”。皮肉なタイトルである。
・テロ集団”アル・シャバブ”のアジトに飛んだ、昆虫型ドローンが映し出したモノ。
それは、大量の自爆テロ用の爆弾であった。
それを確認し、ロケット弾、”ヘル・ファイヤー”による攻撃を英国及び米国政府外相、首相に求めるパウエル大佐や、フランク・ベンソン中将(アラン・リックマン:合掌・・。)の姿。
ー ここで、英国の外相が判断を避けるシーンが、現実的である。気持ちは良く分かる・・。ー
・アジトの傍で、パンを売り始めてしまった少女アリア。焦る、パウエル大佐達。
ー 頻繁に使われる、”付随的被害”と言う言葉。何処に、ロケット弾を落としても、65%の被害であるという分析・・。ー
・ロケット弾攻撃の後、地面に臥せるアリアの姿を見て、眼に涙を浮かべる、任務遂行した軍人たち。
ー あれは、キツイだろう・・。ー
<英国政府の女性高官が”恥ずべき作戦だった”という言葉に対し、フランク・ベンソン中将が言った言葉の重み。
現代の戦争での、被害者は”何の罪もない無辜なる一般市民”の比率が増えていくのであろう。
スリリングで、面白い作品であるが、この作品が現代社会に問いかけるテーマは重い。>
正解のない問い
ドローン攻撃って、「ゲーム感覚」で命の重さが軽んじられてるというイメージでしたが、この作品では決してそんなことはなかった。周りが見る余裕があるからこそ、自分の命の危険がないからこそ、状況が鮮明に見えるからこそ、その命の重さが感じさせられて、攻撃に踏み切れないものなんだと感じました。
ストーリーとしては、判断が難しい選択、いつ動くか分からないテロリスト、留まる少女、来ない作戦決行と、終始緊迫感がありました。目の前の1人の少女の命か、見えない80人の命か、どちらを選ぶのか、どちらかが正解でもう片方が不正解というものではない問いはホントに難しい。。いろんな立場、考え方があったけど、最後のシーンは全員が「早くそこから離れて!!」と願っていたのが印象的でした。
作品としては、1人の命を犠牲にして、80人の救った選択でしたが、やはりラストはこの選択でよかったのかとやりきれない気持ちになりました。
これが今の戦争か。
先の犠牲者の心配より今守るべき命・・
戦争で犠牲となる民間人の悲劇は映画や報道で数多見知ってきたが本作のようにあらたまって少女の存在を描かれてしまうと心底辛い、テロも憎いし軍人の論理も分からぬわけではないが逮捕が一気に抹殺とは作戦にしては場当たり的すぎて到底同意できるものではないでしょう。
ただ、映画は愚かさを描いての問題提起がねらいなのだろうから致し方ない。
英国ノースウッドの司令部を拠点としてナイロビの地上部隊、上空のドローンを操縦する米国のネバダ基地、人物解析のハワイ基地、英国上層部たちが鳩首会議するロンドンをリアルタイムで結んでアル・シャバーブへの対テロ撲滅作戦が進行するのだから凄まじい時代です。
映画ではターゲットのテロリストは英国籍や米国籍の犯罪者の設定で自国の警察権の行使のようにもとれるように脚色はしているが度を越している、テロリストにはミサイルでの抹殺も辞さないというのは力の誇示、いわば公開処刑、見せしめ的な効果も狙っているのだろう、巻き添えになる少女の命を天秤に掛ける思い上がりにはぞっとする。
まだ先の自爆テロの犠牲者と今起こりうる犠牲者の数を比べるのは拙速、自爆テロの阻止の手だてが他にないと決めつけているでしょう。
劇中のドローンはプレデターの改良型MQ-9 リーパー、搭載ミサイルは元は対戦車攻撃用に開発されたヘルファイア、実際にアフガンやパキスタンでのタリバン暗殺に使われたが威力が大きすぎ巻き添えとなる民間人の死者は1000人を超え問題となり、CIAの要請でより小型のスコーピオンミサイルが開発されている。何も本質的な問題は手つかずに戦術のみが巧妙化するのが現実かと思うと気が滅入るばかりである。
エンドロールで本作が遺作となったアラン・リックマンさんへの追悼が出る、映画ではベンソン中将を演じていた、私生活では孫娘への人形を買う好好爺が軍務では真逆な決断を行うというダブルスタンダード、酷な役柄を課したものです。
やるせない
ケニアのイスラム過激派のアジトをドローンで爆撃する際、アジト近くで少女がパンを売っており、爆撃するべきか否かの過程をイギリスの作戦司令部、イギリス政府、アジト近くの工作員、ドローン操縦士のそれぞれの視点で描かれる。政府要人は責任取りたくない故、外務大臣、首相に至るまで判断を棚上げ。アメリカ政府はテロを未然に防ぐためには少女一人の犠牲も厭わない姿勢で描かれている。被害数値を低く誤魔化してでもテロ撲滅に動く現場の大佐役にヘレン・ミラン、政府要人に爆撃を迫る中将役にアラン・リックマン。やるせない思いで爆撃したドローン操縦士は実際こうしてPTSDになっていくだろう。工作員以外は誰も現場におらず、傷を負わない。少女の死が新たな憎悪を生む結果になっていくだろうと負の連鎖を感じるが、多くの死者を出す可能性があるテロを防ぐにはどうすべきなのか、ラストは微笑む少女のフラフープを回すシーンで終わるが、何とも救われない、やるせない気持ちになった。
現代の戦争はこうなっているのか、改めて驚いた。無人偵察機、攻撃機と...
終始ハラハラドキドキ
状況が刻々と変化していくので、終始ハラハラドキドキでした。だれる場面がなかったのが良かったかな
一番頑張っていたのは、多分、現地でドローンを操作していた若いお兄ちゃん笑
最後まで、任務を全うする心意気はかっこよかった。
面白かったのは、少女たった一人のために作戦が難航するんだけど、その少女は作戦のこと等つゆ知らず、フラフープを楽しみ、父親に叱られ、母親の言いつけを守ってパンを売る、ふつーの少女でしかないこと笑
あなたのおかげで、どれだけの人間がため息をつき、頭を抱え、嘆いたことか、、
ミサイル発射のボタン押す軍人しかり、ターゲット狙撃したいのに本部の許可が下りなくて困っている大佐しかり、本部?の会議室の司令官しかり、各所に確認するためにお偉いさんに連絡をつなげた事務官しかり、死亡率を下げるよう指示された分析官しかり、、、
だいたい、エビ食って腹壊すとか知らねーよっていう笑
みんな大変だなーと思いつつ、次々に状況が変わっていく感じとか、関係当事者で意見が錯綜する感じとかは、仕事ってこういうものだよな、、と共感してしまった笑
で、現場の兄ちゃんが一番ガッツ見せるという笑
家のテレビで見ましたが、映画館で見てもよかったなーと思える作品でした。面白かったです。
安全な戦争なんて
面白くないけど、考えさせられる。
皆どうかしちまったのか!?
ヘレン・ミレンは色々なタイプの映画に出ていて本当に凄いですが、本作では冷たい司令官を演じていました。極限まで理性的になって人殺しをします。内容はアメリカが侵略して余所の国の人々の生命と生活を壊すというだけの映画で、私はアメリカ人ではないので全然面白くなかったです。日本人で本作を楽しいって言っている人って、一体どうしてしまったのでしょうか。操縦者が苦しんでいた「ドローン・オブ・ウォー」の方がまだ良かったです。
人間が
全140件中、21~40件目を表示











