「最後までドキドキ、でも…」アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 yanakoさんの映画レビュー(感想・評価)
最後までドキドキ、でも…
日本では絶対に考えられない映画、アメリカも作れない、やはりイギリス映画ですね。
近未来にドローンがここまで進化するだろうことを見越しての、問題提起の映画です。
ヘレン・ミレン好きなので見に行きました。
いやー最初から最後まですごいサスペンス!心臓悪い人はどうかというぐらい、私はずっとドキドキしてました。
ヘレン・ミレンはこういう役がいいですよね。もともと好きになったのが、英国ドラマのプライム・サスペクトだったからかもしれませんが。
軍事作戦の遂行に際して、色々な立場からの意見がぶつかり合う様は、すごいと思います。軍隊でもないのに、こういう上司と部下の関係は日本ではあり得ないよなあと感じます。ここに、ヒューマニズムが入り込むわけですが、英国やアメリカの現実の軍隊でも、これはリアリティのあることなのでしょうか。(日本の軍隊では、太陽が西から昇っても、水が下から上に流れてもあり得ないと思います。)なにか軍人を美化して描かれてるのではないかという気がしてしまいました。戦争は必要悪であり、その結果人が死んでも、それは多くの同胞を救うためにはやむを得ないみたいな。こうして、戦争もやむを得ないということが意識の前提に押し込まれていくような気がします。
とてもよく組み立てられていて、最後まで目が離せない緊張感がありますし、そこで議論されることは、ここに登場する人たちの立場からは、とてもよく練られたものだと思います。
しかし、この外にある、自爆テロを行なっている組織にいる人たちは、絶対悪として描かれていて、それは自分たちの側の議論の重層性とは真逆に一面的にしか描けない。そこにやはり私は違和感ありありでした。なぜ彼らがあんなことをやるのか、自分の命を投げ出してまでして。
そこがない限り、絶対悪に対して最善の努力をしている軍隊に気持ちがひきづられて行きますよね。
特に現場にも行かずに遠くからコーヒー飲みながら民間人を巻き込むような作戦命令への批判に対して、5回も自爆テロの現場で死体処理したんだという軍人。これから起きることがわかっている自爆テロを阻止することは執念な訳です。納得しちゃいますよね。
しかしこの渾身の軍人の言葉で終わりにしないところに、私は救われました。
それにしても、やはりヘレン・ミレンいいですね。71歳か72歳らしいです。
これを書いた後に他の方たちのコメントを見たら、シンゴジラに似ているというコメントが複数あって、へーーえ、そういう見方もあるんだぁと思いました。私も見たんですけどね、シンゴジラ…。全くそういう発想にならなかった。あの会議のシーンも、日本の現実の政府内であのようなことになるかというと、そういう意味では全くリアリティを感じられなかったんですよね。だもんだから、思いもしなかった。うーーーん、