「ダイアローグから有機的に浮かびあがる青春の1ページ」エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
ダイアローグから有機的に浮かびあがる青春の1ページ
カーステレオから流れる聞き覚えのあるメロディ。今となっては「懐メロ」な80年代リズムに乗せて大学生活がスタートを切る。とはいえこれは正確に言えば始業式にも満たない、入寮日から最初の授業まで、たった3日間の物語である。
主人公が所属するのは野球部。同年代の部員の頭ときたらいつだって女の子とのお楽しみのことで一杯だ。その無軌道な流れの中で紡がれるリンクレイター式のダイアローグは、一見、混沌や狂騒へと向かうようでいて、不思議と各キャラの生き方、考え方を味わい深く浮かび上がらせる。そうやって甘酸っぱくもほろ苦い「二度と帰ってこない青春」を有機的に出現させキュンとさせるところにこの人の卓越した巧さがある。
後味の良さ、青春を俯瞰する視座はリンクレイターの前作『6歳のボク〜』と共通性が極めて高い。両作はストーリーや制作規模こそ全く違うが、互いに兄弟のような絆で繋がった存在と言えるのかもしれない。
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