ブランカとギター弾きのレビュー・感想・評価
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沁みた!
ストーリーも設定も特段何か新鮮味のあるものではない…ところが、だ。
冒頭からエンドロールまで、スクリーンに現れる人々から片時も目が離せなかった。そして気がつくと恥ずかしながら滂沱なの涙が。
作者が本当に真摯に画の中の人物や出来事に向き合っているからだと思う。大切な誰かにプレゼントしたい作品。
オレンジ色は温かい心の色
言っちゃえば孤児と盲目の老人
(どっちもホームレス)
の心打つ奇跡の愛…
監督は日本人のストリートカメラマン
イタリア映画で舞台はフィリピン
現実の話し
盲目のギター弾きピーターは公開後まもなく亡くなったらしい…
待っている人がいるところが家
子供が主人公の映画はそれだけで共感を得やすい。しかしスラム街の子供は、観光客からお金を奪ったり、麻薬を売ったり買ったりと、負のイメージがあって、必ずしも共感を得られるとは限らない。
本作はそんなことは百も承知で、所謂ストリートチルドレンの居場所について問題を提起した。何故彼らは生まれてきたのか、生まれてこなければならなかったのか。
避妊技術の発達で、先進国では子供を生むか生まないかの選択が生まれた。いまは死語かもしれないが、以前はコンドームやピルなどはバスコン(Birth control)と呼ばれていた。略語が生まれるのはその言葉が人口に膾炙している証拠だ。
日本ではバスコンが一般化しすぎたのか、少子高齢化に向かって驀進中だ。子供が生まれないから不幸が増えないとも言えるし、逆に幸福も生まれないとも言える。子供がいる将来に安心感がない社会だから、必然的に少子化になる。どれほど子供手当を増やそうが、社会に希望が生まれない限り、少子化対策にはならない。
先進国以外では子供は植物のように繁殖する。避妊することや子供を産まない選択があることが周知されていないからだ。無秩序に生み出された子供たちは、生き延びるために共同体の秩序に反する行動を取る。その場合、子供たちは社会の財産ではなく、小さな破壊者である。
しかしやがて共同体の生産が向上するにつれ、子供たちは生産システムの中に飲み込まれて社会の歯車と化していく。個性よりも能力が求められる。そして生産社会への貢献度によって格差が生まれる。そんな格差を諦めて受け入れ、社会の傘の下でパンのために自由を投げ出すことで生活の安定が生まれる。もはやストリートチルドレンではない。
本作は過渡期にある共同体(国家)に放置された孤児のアイデンティティについて、どこにも拠りどころのない彼らの刹那的で不安に満ちた心情をよく表現している。主演の少女は演技も歌も実にうまい。彼女の台詞は真実を衝いていて、観客の心をえぐる。
大人は子供を買えるのに、どうして子供は大人を買えないの?という質問に、誰がきちんと答えられるだろうか。
決してハッピーエンドとは言えないラストだが、それでも人との繋がりに喜びを見出すことができるようになったのは、彼女のひとつの成長である。待っている人がいるところが家なのだ。経済的な見通しは真っ暗だが、心には自由がある。
終わり方が非常に好き
詳しく知らない異国の物語なので、この内容がどれだけリアルなのかよく分からない。しかし、どうしても違和感をもってしまうところが散見された。
そしてまた、盲目の人が弾くギターもそれほど魅力的には思えなかったし、映像そのものにも拘ったところを感じとることができなかった。
あまり長い作品ではなかったけれど、予想以上に忍耐を要するように感じた。
その忍耐が、ストーリーへの違和感によるものなのか、つらく報われない内容によるものなのか、明確に判断できない。
つらい思いはしたとはいえ、印象的なラストがすべてを浄化してくれたように感じて、結果的に非常に良い作品だと思うことができた。
すべてはラストカットのため、そう感じた作品だった。。
この脚本に矛盾を感じないか?
『ブランカとギター弾き』を観る。
フィリピンのスラムを舞台にした日本人のカメラマンの処女作である。どういう経緯で彼がベネチア映画祭の援助を受けてこの作品を作ったかは知らないが、久しぶりに見た自主映画だった。脚本の練りが足りなすぎで、あちこちでイライラする展開。スラムの中でドキュメントのように人々に溶け込んで映画を作ったリアルさはあるけれど、これは失敗作だと思う。もっとできたと私は思う。ブランカにもっと唄を歌わせなければ、映画にはならない。我々はスラムに生きた(戦災孤児や北朝鮮のコッチェビ)子供達のリアリズムを見たいわけではないのだ。この映画の評価が「家」とは帰る場所とか言ってるけれど、評価の曖昧さにつながるんだよね、そんな意見は。
ダメなものはダメ。脚本の不備は致命的。
帰る場所と家族がいることがそんなに幸せな事だなんて。
普通なそんな事が普通じゃない人達もいっぱいいて、その普通な事がこんなにも大切な事なんだと気づかせてくれました。
日々に感謝、そして視野を広げていろんな人達と世間をみないとなー、と思ったりもして。
主人公ふたりのやさしい演技にいやされます。
ラスト、良かった。
全編日本人監督らしい作り方も見もの。
明るさと貧困と。
スラムに生きる少女。盲目の道端ギタリスト。人間らしさを失わずに生きようとする透明な心が、歩むべき道を照らし出すのだろう。
負の連鎖が待ち受ける貧困社会に生きるたくましさが、そこにある。
何回、開けても、色あせることのない玉手箱
出発点は、「格差や貧困、どうして?」、といった視点で描き始められているのですが、上映が進むにつれて・・・・・、
人は、
♪ どんなことが起きると、ホッとするのか、
♪ どんなことが起きると、嬉しくなるのか、
♪ どんなことが起きると、怒り出すのか、
♪ どんなことが起きると、元気がなくなってしまうのか、etc.
いろんなテーマに、丁寧に答えてくれる・・・・・、
素敵な旅行に連れて行ってもらったような感覚が残っています。
また、あらすじが解ってしまった状態で、最初から観直してみても、また前回とは違ったメッセージが浮かび上がってくる、底の深い、不思議な作品でした。
夏休み、是非、お子様とご一緒に、ご覧ください。
ストリートで心豊かにたくましく生きる少女
フィリピンのストリートチルドレンであるブランカと盲目のギター弾きピーターのロードムービー
製作国はイタリアで、監督・脚本は日本人、舞台はフィリピンという作品。
ストリートチルドレンと聞くと、真っ先に「なんてかわいそうな」と思いがちだけど、このブランカに「かわいそう」という言葉は似合わない
もちろん、路上で生活することや、親がいないことは気の毒だけど、彼女は私たちが思う以上にたくましく、心豊かに生きている
「生命力」溢れる女の子だった
そして、路上でギターを弾き続けるピーターはそんなブランカを何も言わずに包み込む
彼は、目が見えない分、心で見えてしまうことが多いのだろうと思った
奇しくも、同じ日に公開となる「ローサは密告された」も、フィリピンの貧困について描いている
向かう方向は違うけれど、どちらもフィリピンという国で、貧困の中で「生きる力の強さ」を感じさせる作品だった。
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