劇場公開日 2016年11月12日

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「「画面の外を観る」ための3D映画」誰のせいでもない りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)

2.5「画面の外を観る」ための3D映画

2016年11月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ヴィム・ヴェンダース監督の新作『誰のせいでもない』。
ここんところドキュメンタリー映画ばかり撮っているヴェンダース監督、劇映画は『アメリカ,家族のいる風景』以来か。
ドキュメンタリー作品は1本も観ていないので、ヴェンダース作品は本当に久しぶりだ。
そして、この作品、本来は3D映画。
3D映画はとっても苦手なので、2Dで鑑賞。
この時点で、鑑賞方法を誤っているのかしらん?

カナダ・モントリオール郊外。
かつて2冊の小説を発表したトマス(ジェームズ・フランコ)は執筆に行き詰っていた。
恋人サラ(レイチェル・マクアダムス)と離れ、凍結した湖上の小屋にこもっていた彼は、ある日、目的もなく雪の田舎道を自動車で走っていた。
そこへ、プラスチックのソリに乗った少年が飛び出し、間一髪のところで停車した。
近くにある少年の家を訪ねると、母親のアン(シャルロット・ゲンズブール)は、もうひとりの少年の名前を叫び、雪原に飛び出していった。
トマスの目の前に飛び出した少年は、ひとりではなかった・・・

というところから始まるハナシで、予告編からの想像では、その後、トマスがこの事件を題材に小説を書き上げ、その執筆の最中のトマスとアン、さらにはサラを絡めた確執が描かれるのだろうと思っていた。
まぁ、その想像は半ば的中していたが、半ば外れていた。

トマスの小説は意外と早く(映画中盤までに)書き上げられる。
しかし、その小説の内容は明らかにされない。
かてて加えて、トマスがもうひとりの少年を轢いてしまった直接描写がない。

なので、素直な鑑賞眼を持たないりゃんひさは、「おぉ、あの事故は、やっぱり少年はひとりで、母親は以前に死んだもう一人の息子が生きていると思って、錯乱しているのだ」なんて、思ってしまいました。

まぁ、観つづけると、そんなことなどはろうはずはなく、事故から立ち直るトマス(傷は抱えているのだけれど)と、事故から立ち直れないアンと残された少年の物語が、時を経て続いていく。
レイモンド・カーヴァーあたりの小説にでもありそうなハナシだけれど、うーむ、映画としては、つまらない。

原因はハッキリしている。
冒頭から描かれる、小屋の中での舞う埃、事故の際のちらつく雪、フロントガラスや窓ガラスに映るトマスなど、3Dでの画面づくりに力を入れているので、2Dではそこいらあたりはそれほどわからない。

小説には「行間を読む」という言葉あるように、3D映画にも「画面の外を観る」という言葉があってもいいはずだ。
って、ヴィム・ヴェンダース監督は言っているのかもしれない。

ともあれ、2Dで観た限りでは、あまり面白くない一遍だった。

りゃんひさ
万年 東一さんのコメント
2016年11月16日

劇映画はパレルモ・シューティング以来です。

万年 東一