「ペンキを死守するワケ」ハイ・ライズ デッカートさんの映画レビュー(感想・評価)
ペンキを死守するワケ
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アイコニックで社会主義的でディストピアなハイライズは見るものをドラッグのトリップ状態に陥れるような不可解で奇妙なストーリー。分かろう分かろうと必死になってしがみつけば、たちまち駐車場まで真っ逆さまに落下する。
階級ごとに分けられたタワーマンションはスノーピアサーが如く各コミュニティーが立ち入らずに暮らしているが、インフラの供給不足と不公平によりその均衡はめちゃめちゃになる。その問題はまた他の問題を生み、喧嘩を見た男女が仲裁に入ることはより事を大きくすると言うように、事はどんどん取り返しのつかない方向に広がっていく。
そんな中でも主人公は周りに目をくれず同じ生活を繰り返し(というよりは見ないようにしていた)上の階のはぐれものの少年とだけ接触しながら自律を保っていた。
デモが起きる各階を無視して、主人公はスーパーでペンキを買う。壁中を空と同じ水色で塗りたくり、自分にもそれを撒き散らす。初め壁にあった彼女との写真は、上の階の女にすでに剥がされてしまっていた。自分のリズム(ジムのマシーン)、自分の色を持つことで、彼は何にも流されず存在して入られたのだと思う。
結果タワーはフェミニストに支配されたが彼は加担するわけでもなく存在し続け、隣のタワーの住人を招き入れることを考えて終わる。
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