「不屈の人」トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
不屈の人
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「マジェスティック」もハリウッドの赤狩りで職を失った作家の映画だったが本作は実話である、「ローマの休日」のゴーストライターは有名なので知っていた、人物に興味があり鑑賞。
映画では不屈の人、寛容のある美談に寄せて描かれているが世間の理不尽さと生活苦から実際は家庭崩壊寸前まで追い込まれていたことが窺えます。
労働者の権利主張が資本家にとって目障りなのは分かるし、軍人には反戦平和主義者が臆病者に映るだろう、どちらの立場であっても都合の悪いことは排除したがる人の本質、力学は残念ながら封印できないのだろう。戦後の新たなソ連との緊張関係から国民感情が愛国反共ムードに流されていた時代背景と重なって生じた映画史の汚点であろう。
捨てる神あれば拾う神ありではないがいくら冤罪で懲役を科しても彼の筆を取り上げることはできなかった。
トランボの凄いところは芸術家と名職人の両方の資質を併せ持っているところだろう、B級からアカデミー賞級まで注文に応じた変幻自在の技量と独創性には驚嘆する。機会があったらキングブラザーズ・プロダクションズ時代の映画も観てみたい。
邦題のサブタイトルに「ハリウッドに最も嫌われた男」とあるが果たしてそうだったのだろうか、性悪ばあさんのヘッダ・ホッパー(ヘレン・ミレン)は別として、保身から関わりたくなかった人はいたかもしれないが、これほどの才能のある仲間想いの人物なら慕う人、惜しく思う人は少なからずいただろう・・。
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