「●心から尊敬する男のはなし。」トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 うり坊033さんの映画レビュー(感想・評価)
●心から尊敬する男のはなし。
ダルトン・トランボが好きだ。その不屈の戦いたるや。彼の作品にはそのまま彼の生き様が投影されている。そうかと思うと、「ローマの休日」終盤にある秘密の共有は、たぶん彼のメッセージ。
とまあ、作品に脚本家の本音がみられて粋なのだ。本作みてから彼の作品たちを観ると、絶対楽しいと思う。
さて本作はそんな彼の半生。当時のハリウッドの様相も知れて興味深い。
「真昼の決闘」が嫌いなタカ派のジョン・ウェイン。立場よりも女を選んだロナルド・レーガン。ネットもない時代に絶大な影響力を誇ったヘッダ・ホッパーの筆致。
怖いもの知らずの「スパルタガス」カーク・ダグラスに、「栄光への脱出」オットー・ブレミンジャー。
時代の本流は完全に反共だ。本作には出てこないけど、ウォルト・ディズニーも本流だ。「エデンの東」エリア・カザンは転んじゃう。チャップリンは最終的にアメリカを追放されている。赤狩りが時代の要請だったことは想像に難くない。
そうして干されてからも、トランボは書いて書いて書きまくった。時にはユーモラスに。決して折れることなく。そんな彼を無口な妻が支える。時代を受け入れる心の広さ。ラストの肉声には泣かされる。の前のケネディもイカしてる。
にしても、彼の映画化は遅すぎる。と思ってたら、アメリカで本作は、当時の社会主義のあり方を検証してないだろうと、保守派から叩かれたらしい。それほど難しい問題なのだろう。
ノンキなのは承知だけど、さまざまな考え方を受け入れられる世の中であってほしいもんだと切に願う。
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