劇場公開日 2016年7月22日

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「数々のSNS炎上が、この出来事の再演で無いと良いが・・・」トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0数々のSNS炎上が、この出来事の再演で無いと良いが・・・

2016年8月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

第2次世界大戦終結後にアメリカで起きた赤狩りの対象となり、映画界から追放されてしまったダルトン・トランボの伝記映画。

いやぁ、あの『ローマの休日』にこう言う隠された逸話があるとは知りませんでした。脚本には、「あこの作品は、あの人っぽいよね」と言う癖が有るような気がするんですが、専門家ばかりのアカデミー会員は、見抜けなかったんですかね?あるいは、この時のアカデミー賞受賞は、陰ながらにトランボを応援していたアカデミー会員の影の努力の賜物なんでしょうか?

『ローマの休日』以外にも、大ヒット映画の脚本に関わっていたトランボは、一種の天才ですね。見た事はありませんが、『スパルタカス』とか『栄光への脱出』とか、いやぁ、すごい作品ばかり。

見ていて思ったのが、自由に考えていることを主張していくことの大切さと、それを守ることの難しさ。いまSNSでは、誤った正義感・自己の価値観の押し付けによる過剰なバッシングが多いですが、この当時の赤狩りもそれに類するというか・・・、時間軸的には逆ですね。いまの過剰なバッシング傾向は、当時の誤った赤狩りに通じるものがあると強く感じました。

ちょっと意外に感じたのが、ヘレン・ミレンが、正にbastardとでも言われるべき人間を演じていたところ。いやぁ、本当に悪くて嫌な奴でしたね(笑)。あんな役を演じられるのも、ヘレン・ミレンが一流の女優であるからなんでしょうが。

それにしても、途中までは「トランボの作品は最高だけど、トランボ本人は人間としては最低だ」と思っていたんですが、奥さんの“激怒”により改心した所も中々凄いと思います。そう言うところがないと、こう言うヒット作品ばかり書き続けられないんでしょうね。

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勝手な評論家