ブルゴーニュで会いましょうのレビュー・感想・評価
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筋書きはベタだが得るものはもっと大きい。
実家のワイナリーを飛び出してワイン評論家として成功した主人公が、倒産の危機に瀕したワイナリーを救おうとワイン造りに挑戦する。田舎で自分を見つめ直し、反りの合わなかった頑固な父親との距離を縮めていく展開は、おそらく誰もが予想するし、あっけないほど定石通りに進んでいく。 この語り口を、安心して観られると取るか物足りないと取るかは観る人によって違うだろう。演出も90年代のハリウッド映画を想起するようなベタなものだが、不思議なほど嫌な感じを受けなかったのは、ラクに観られるからというより、筋書きは潔くシンプルにして、ワインを生み出す土壌そのものに親しみ、畏敬し、愛でることが意図なのだと思えたから。 お話しを盛り上げるためにわざわざ凸凹と起伏を作ることはない。人間が右往左往するよりも大地は大きい存在である、と、そんな感覚を味わえてなんとはなしにいい気分になった。
とても良いお話だし映像もとても澄んでいて良いのだが…
ワイン作りを通して様々な「愛」を描いているとても良いお話。映像的にも全体的に澄み通っていて、特に風景描写は観とれるほど美しい。 でも、細部を掘り下げるとどうだろうか。先記の通り当然良いお話だとは思うのだが、ストーリーがありきたりというか、少々出来過ぎで鼻につくというか…個人的には感動の押し売りって感じがしてしまい、あまり素直に受け入れられなかった。 そして、父親の「俺の畑は絶対に手放さない」からの舌の根も乾かぬうちの「畑への興味が失せた」はあまりにもあべこべだし、息子の無意味なほどの手の早さや、再建をかけた必死のワイン作りの最中に不貞!?な恋愛を無理やり入れ込んでくるあたりは不謹慎にすら感じてしまう。「リコリスを感じたら」って…どのくらいの秘技かは知らないが、とても大切であろう収穫の時期も今まではアバウトだったの!? この流れではガンジーのありがたいお言葉も上滑りしてしまうでしょ。 良いお話なのに疑問を呈している自分に嫌悪感を覚えつつも、やはり素直に感動できなかったのが正直なところかな。
愛だな
主人公の手法はともかく、脈々とワインの作りてが葡萄に愛を注ぎ込んで作り上げられたということは伝わってきた。 一年で勝負しなければならないシチュエーションだったのが残念。もう少し長いスパンで挑戦し、追い込まれていって起死回生ってぐらいにしないと、モノづくりはこんな簡単ではないとしらけちゃう。娯楽映画として楽しかったです。
こ、これは素人映画ですか?(汗)
馬に鋤を引かせるとか、足で潰したピノを素焼きの壺で醸造とか。本国フランスでは暴動が起こりかねない筋書き。 二千年前のローマならいざ知らず現代のブルゴーニュではこんなことやってませんし。こんな観光農園の出し物のような一発勝負では良質ワインを安定的に作れない⇒シャトーの名を永続的に興すことは不可能。 あちゃー・・父親は変になって舟を造ってる。これでは畑はもう死んでます。 息子も時間切れでパニクっていたのか?あり得ない思いつきの やっつけ仕事 + ご近所の痴話エピソードにはそうざめしたんですが、 でも、憧れのコルトンの畑が映ったので鬼感激。 それで☆は3つ付けました。 昔ワイン業界にいました。 ノックアウトされたのはそのコルトンのクロドラバール畑の白「ムルソー」。ドメーヌ(醸造家)はコント・ラ フォン。もちろんステンレスの温度管理タンクです。 この映画は別にブドウ畑が主題でなくてもいい、例えば工場でも証券業界でもいい。単なる「息子の帰郷もの」だと思いました。 そして親不孝を挽回したい息子のちょっと痛い空回りの物語。
ワインを伝える
家の田畑を代々受け継ぎ、守り、伝える。 どの作物も同じかと思いますが、ワインだから絵になるのでしょうね。 親子の話、隣人の関係、そして。 よくある話なので新鮮味はないけど、奥深い伝統の味がしそうです。 「サイドウエイ」の時も思いましたが。 ワイン飲める人はもうちょっと感想が違うかも。飲めないのよね 私~。
畑こそ宝
家出息子と枯れた父親がワイン作る話 良くある知識だけの若者と実践ばかりの老人のぶつかり合いながら協力し、成功を手にする話に思えたが一味違った作品だった。 何十年もワイン作りをしてきたものの情熱の冷めた父と野良作業が嫌で都会に行った息子、そんな二人が先祖伝来の畑を守るため、嫌々ながら協力する。 他の作品と一味違うのは、尽く父親の助言や行動は否定、拒否されてしまう展開だろう。 一年以内に借金を返さねばならず、一か八かのワイン作りを目指す主人公には父の今までの知識、技術が全くもって不要なのだ。 何度も否定される父の姿を見ていると、自分で蒔いた種ではあるもののかなり可哀そうになってくる。 最終的には家族の絆が深まるいい話だとおもったし感動もあるが、都合が良すぎたり、あまり挫折も無く話がすすむので、父親の目線で映画を見てしまうと、全然感動でき無いかもしれない。 この作品での父親像はあまりいい描かれ方をしていないように思える。ただ従来の作品よりも、利害関係だけではない親子の絆による家族の再生をより際立たせていたように思えた。 ワイン畑のロミオとジュリエットな展開も劇中含まれていて話を盛り込み過ぎ感は否めないが、全編美しいブルゴーニュの風景とお洒落な雰囲気で心地いい作品だった。 劇中セリフより 「何が正しかったなんて、誰にも解からない」 答えは無数にあって、正解も間違いも無い やらずに後悔するよりやって後悔した方がいいとはよく言ったもの。でも後悔が全て悪いとは思えない、次に生かせるのなら必要だったかも知れないのだから。
ワイン農家のお仕事
ワイン農家のお仕事が少しわかります。ブルゴーニュ地方の葡萄畑は綺麗に撮れてます。 でもでも、主人公になかなか感情移入はしづらいかな?始めに金髪の女性に主人公の人となりを喋らせるのも要らないかな? 人物に関してはみんな薄っぺらい感じ。ちょっと残念。
フランス版もやしもん?
フランス映画にしては、作りが雑です。90分強の映画で、恋愛物語とワイン造り物語を絡めたストーリーだが、どっちつかずの感が否めない。 おすすめしませんが、時間とお金に余裕がある方は、フランスワインがどこで造っているのか知りたい時に観て下さい。
美しい風景をすごく期待しちゃったので…。
お話は代々継がれる広大なワイン農家の家族の再生物語。思ったほど複雑でなく実に軽い仕上がりなストーリーだった。 しかし…、ブルゴーニュの美しい風景を映像で堪能出来るかと思ったんだけど…撮影って難しいんだな、と。陽の光とか、広大な大地とか、あんまり画面から伝わってこなくて…残念。
畑が求めるもの
評判と名声を得たワイン評論家が、販売不振と借金で立ち行かなくなった実家のワイナリーを立て直すべく、はじめてのワイン造りに挑む映画だ。失敗すればワイン評論家としての名声も地に落ちるうえに、借金を返せなくて畑を売ることになる。 実際はどうなのかわからないが、映画の中でのフランス人たちの人間関係は、どんなに激しく議論を戦わせても、相手の人格を否定したり、ましてや暴力に訴えたりすることは決してない。流石に言論の自由を自分たちで勝ち取った国民だ。懐の深い精神性を感じる。最近はフランスでも極右政党が勢力を伸ばしつつあるようで心配だが、この映画に登場するフランス人は言論の自由を重んじる知的な人たちばかりだ。 ストーリーは坦々と進むので特筆すべきことはないが、広大な土地に葡萄畑が広がるブルゴーニュの映像がとても美しい。そして美しい自然は同時に厳しい自然でもある。そのことはワイナリーの職人が一番よく知っている。 葡萄畑は、日当たりや水はけなどの少しの違いで、出来るワインの質がまったく違ってくる。普通の畑は、それほどいいワインは出来ないが、それでも苦労する。いい畑は自然の恩恵をもたらしてくれるので、いいワインが出来る。主人公シャルリは子供のころ、祖父からそう聞かされていた。 隣のワイナリーで40年もワインを造りつづけているエディットは「畑が求めるものを与えなければならない、そして畑はさらに求めてくる」と語る。畑が求めるものが理解できない人にはワイン造りはできない。ワイン造りの要諦は葡萄造りにあるのだ。 日常的な静かなシーンの中で、ものづくりをする人間の才能や心構えやアイデア、或いは新しいことに挑戦する勇気などがうまく描かれており、ワインに詳しい人も詳しくない人も、どちらも楽しく鑑賞できる。私も詳しくないひとりだが、主人公が父親に飲ませていたワインのエチケットを見て、思わずのけぞってしまった。これは観てのお楽しみだ。 フランス語のタイトルは「Premiers Crus」だ。簡単に言うと一級酒という意味だが、ワインの場合はどの葡萄畑の葡萄かを表しているので、日本酒の一級酒とはだいぶ違うと思う。 日本酒が特級酒、一級酒、二級酒という風に格付けされて売られていたのは30年くらい前のことだ。いまはその格付けはなくなり、主に作り方の違いで純米酒や本醸造酒、精米の度合いで吟醸酒や大吟醸酒、味の違いで辛口と甘口、濃醇と淡麗などに区別されている。 「Premiers Crus」はこの映画ではどういうニュアンスなのだろうか。それぞれの単語の最後にsがついている理由もよくわからない。映画を観たソムリエやソムリエールの方々に聞いてみたいところである。 ワインを飲むシーンが沢山あって、楽しい映画である。登場人物がほとんどみんなワインの専門家だけに、グラスを傾けて色を見たり粘性を確かめたり、口に含んで空気を吸い込んでみたりする。何も食べずにただワインを飲むところがいい。どんな味がするんだろうと、観ているこちらも一緒にテイスティングしている気になる。
『ワインうんちく大好き愛好家』はハマる
気になってた映画。フランスを代表するワインジャーナリスト、数々のトップ生産農家が制作に加わるという『ワインうんちく大好き愛好家』はハマるはず。自分のような大雑把な『感覚的消費者』はボルドーとブルゴーニュの違い、近日話題であったボジョレーやシャブリはブルゴーニュの1地区、ロマネ・コンティはブルゴーニュの特級畑の1農家が産出するワインなど恥ずかしい無知ぶり自覚(^^; さて映画はワインが種から高級酒が消費者に渡るまでの苦労も生々しさと家族愛がストーリーに巧みに絡まる心温まる作品でした。
新しい(いや、古代ローマの)ワイン、飲んでみたいです
やる気を失ってしまい、倒産寸前のワイナリーの立て直しを通じて、家族の絆とは何か?と言う事を描いた作品。 意外にすんなりと、シャルリがワイン造りに入っていくことには驚きです。しかも、これまでのやり方を止めて、全く新しい(って言うか、古代ローマに帰っている訳ですが)やり方を始めてすらいます。ここまで書いていて、そう言えば最近復活している日本酒の酒蔵も、杜氏制度を取りやめ、蔵元自ら醸造に乗り出すなどの新しい事を始めている所が多いということを思い出しました。お酒に関する事業の改革で、洋の東西問わず同じように、従来の方式に捕われないやり方をして成功する(こちらは映画ですが)というのは興味深いです。 頑固親父が更に伝統を守る形でワイン造りを頑張って、徐々にその頑固さが周囲に理解されていって、それと共に息子も娘も戻ってくるという話じゃないんですよねぇ。日本だと、そう言う感じに描くことの方がありそうですが、そうじゃない所が、日本とフランスの違いなのかな。ワイナリー経営者がやる気を失ってしまった結果、ワイナリーが潰れるというのは、意外にフランスでは多いことなのかもしれませんね。 いかにもフランスっぽいな、と思うのが、シャルリとブランシュの関係。あれって良いのか!物語も最終盤に、ブランシュが帰ってくる件は、その後のマレシャル家とモービュイソン家の関係も変わる予感がします。 シャルリの昔ながらの製法のワイン。日本に輸入されるワインに入っている酸化防止剤も少なそうですし(無使用ではない)、飲んでみたい気がしました。
融合
ワインづくりから逃げ品評家になり成功した息子が、実家の倒産のピンチに頑固で融通がきかず悪くはないけど平凡なワインしかつくれない親父とワインづくりに奮闘する話。 既にやる気はなく、口は出さないと言いつつ文句ばっかり言ってる保守的な親父。実際に息子の立場だったら鬱陶しいだろうけどなんか微笑ましい。 一方、知識も経験もない中今までと一緒じゃダメだと革新的な息子。そんなに簡単には行かないよと思う気持ちもわかる。 お約束の様なサクセスストーリーだけど、ギスギスしていたり暖かかったり長過ぎず、テンポも良くてなかなか面白かった。
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