「渡り終えるまで。」少女(2016) ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
渡り終えるまで。
クリックして本文を読む
湊かなえの原作は未読なので、あのイヤな予告編でしか
物語への空想が膨らまず、実際観ようかどうしようかと
迷った作品だったが、鑑賞後の想いはまるで違っていた。
人が死ぬのを見たいというのがやたら宣伝文句になって
いるがそのイメージはない。むしろ生きたくて苦しんで
いる二人の女子高生がどうすれば現状を打開できるかと
手探りしている様子がよく描けている。陰湿ないじめが
ベースにあったり、援助交際、体罰虐待、冤罪のその後
などが次々と出てくるので恐ろしくなるが、主人公二人
は冷たい視線を送りながらも孤独に耐えぬく親友同士だ。
誰にもいえない想いを「ヨルの綱渡り」という小説で表現
する冒頭からのくだりが素晴らしく、この表現がなにを
意味していたかが分かる後半で涙が溢れる。多感な少女
が経験するひと夏の出来事ではあるが、それがこの二人
を大きく成長させ、ミステリーらしく伏線も回収される。
気持ちのいい展開ではないが絶望を期待する話ではない。
いかにも天真爛漫な女優二人をこの主役に抜擢したのは
かなりのチャレンジで、脇を固める俳優陣、特に重要な
役どころの稲垣吾郎と子役には驚いた。正に芸の綱渡り。
(エンドのGLIM SPANKYも素晴らしい。闇に目を凝らせば)
コメントする