「平穏無事に人生が終わるなどと誰も思ってやしないよ。」さざなみ はるさんの映画レビュー(感想・評価)
平穏無事に人生が終わるなどと誰も思ってやしないよ。
年老いた妻が見せる冷たい眼差し。戸惑いを隠せぬ年老いた夫。老夫はひたすら逃げる。バカげた言い訳に終始しながら真実を口ばしってしまう。それは男にとって、地獄の火あぶり刑よりも痛々しい。シャーロット・ランプリンの演技は見事だ。夫婦でどれだけ歳を重ねようと、どれだけ時間を共有していようと、女の邪悪さは年月が重なった分だけ酷くなるもののようだ。男はサーカスの道化のように過剰な振り付けと歯の浮くような台詞でかわそうとする。でも、すでに手遅れだ。女のシブトイ憎悪を目で表現できる女優は彼女以外にいないだろう。気の弱い、過去に取り返しのつかぬことばかり繰り返してきた男にしか、この恐怖は感じることができない。
しかし、どんなことがあっても女に本当のことを言ってはいけない。
まさに、教訓映画だ。
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