「海よりもまだ深く」海よりもまだ深く 渡辺 博正さんの映画レビュー(感想・評価)
海よりもまだ深く
映画は作り物であり、嘘です。しかしその嘘をどれだけ本物のベールで覆い被せるかによって名作と駄作の分かれ道となる。さて、本作は大げさな感動作でもなく派手さもなく、ただ淡々と現代の普通の人の普通の日常を追っていったものだが、味のあるよくジャストフィットな配役で、繊細微妙な会話を通してほとんど本物と見紛う擬似日常空間を作るのに成功している。それでいて心の琴線に触れる場面に思わず涙腺を刺激もされる。カンヌなら言葉の壁があるが国内では間違いなくここ数年の傑作と言えると思う。
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