「エリザベスの休日」ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
エリザベスの休日
うら若き王女がお忍びで外出。そこで一人の男性と出会って…。
と聞くと、銀幕の妖精の名作ラブストーリーみたいだが、こちら本当にあった話。
しかも、あの亡きエリザベス女王…!
1945年、当時19歳。
ヨーロッパ戦勝記念日に沸く5月8日の夜、王女エリザベスは国民の反応を見たいと、父王ジョージ6世からお許しを頂き、街に繰り出す。
ところが、妹マーガレット王女が護衛の目を盗んでバスに乗ってしまい、エリザベスもその後を追い掛け…。
王女姉妹の行方が分からなくなってしまい、さあ大変!
お間抜けな護衛二人の処分は…、お察しします。
ワクワク自由が抑え切れないとは言え、王女様、お戯れを。特にマーガレット王女、ハッスルし過ぎです。危ないシーンも何度か…。
妹とはぐれてしまったエリザベス。そんな時出会ったのが、記者…じゃなくて、軍人のジャック。
パブへ。父王のスピーチを皆が有り難く聞く中、ジャックはひねくれた意見。
客たちに店の外に放り出され、エリザベスも一喝。
しかし何故かこのジャックと行動を共にする事に。
他に頼れる人がいない。マーガレットを探して歓喜の街中をあちこち。
エリザベスが王女である事に全く気付かないジャック。
んな事あるか~い!…と思うが、当時はTVなど普及しておらず、知らない人も多かったのかも。日本でも天皇陛下の声を初めて聞いたのはラジオの玉音放送だったというのは聞いた事ある。
だからあんな失礼な事言えたのかもしれないが、ジャックがそう思うのには自分の体験。
実際に生死の戦地を駆けた。あの時の事を、安全な場所に居るお偉いさんに分かってたまるか。
言いたい事はよく分かる。媚びナシの一人の国民の率直な意見。
史実では『ローマの休日』のような一夜のロマンスがあったかどうか分からないが、直に国民に触れ、声に耳を傾けたのは事実。
この時の体験が、来る女王への決心や意志の礎になったという。
自分を特別扱いしないジャックに、エリザベスも心を許す。
マーガレットを見つけるが、その時王女である事がバレ…。
さすがに驚き、騙されたと動揺するジャックだが、見捨てはしなかった。
王女という立場で何でも自由かと思いきや、実際は自由など無い身。そんなエリザベスの素顔を知って…。
バッキンガム宮殿に戻る前に、後ちょっと二人で。宮殿にお送り。しっかりエスコート。
相手の父親が睨みを効かせる。父親が国王って、どんだけ~!
宮殿で国王らと食事を頂き、気付けばもう夜明け。
今度はエリザベスがジャックを駐屯地までお送り。
一夜の出会い。その別れに、最初で最後の…。
切なさより多福感とロマンチックさ。
二人にとっても夢のようなひと時。
サラ・ガドンがエレガント。
ジャック・レイナーもナイスガイ。
『英国王のスピーチ』や『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』などと脳内リンクさせながら興味深く見た。
