はじまりへの旅のレビュー・感想・評価
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この題名、この曲、この歌詞部門 今年のベスト1
深く、幸せな映画
親子の業からは逃れられない
資本主義がはびこる人間社会を嫌い山奥で暮らすヒッピー家族のお話。
ストーリーのテンポも良く、映像も美しく、子どもたちも可愛らしく、愉快で笑えてちょっぴり泣けて、バランスのよい作品で、そしてメッセージ性が強い。
監督は彼らの生き方を讃えるような映画を作りたかったんだろうか?とも思えるんだけど
それにしては描写が極端でコメディちっくで、皮肉めいてる感じも受ける。とはいえ、彼らと対比してもっと皮肉に表現されているのは資本主義社会で一般的な暮らしをする人々。
超マッチョな父だが、そのあり方を否定され、傷つき、自身を深く反省するシーンもある。
家族のあり方、社会との関わり方、異なるものの受容性、を考えさせられる作品でした。
一番強く考えたのは、子は親を選べない、ということ。
家庭で学んだことは子のスタンダードになってしまう。思想も生活スタイルも感情も愛情も。
子の自我の形成のためにも、そのスタンダードを自分自身で認め、自ら消化し自分のものにするためにも、他者の存在から遠ざけるべきではないと改めて感じた。
親自身の価値観を否定されたくない、自分を正当化したいというのは自衛本能的なものだと思うが、それを子どもに押し付けるのは親のエゴだ。
押し付けなくても子どもは理解し、自分で考え、受容していく。その過程には反抗期もあるだろう。
親は子を守るためといいつつ、自身を守るために愛情を歪めてしまってないだろうか、
親の心子知らず、子の心親知らず。本作後半のベンのように自問自答し自身と子とを省みながら育てていくのが、親のあるべき姿なのかなぁ。
社会風刺×家族ムービー=スーパー強盗?
登場人物がひとりひとり、とても魅力的。
父から子へ伝えられる「アメリカのアメリカによる社会風刺」はとても自然で小気味よい。
…しかしながら、子どもたちが6人もいるせいなのか、全員を描き切れなかったのは残念。
大自然の中で妻を癒し子どもを育てよう、高水準の教育を施そう…うん、立派。分かるけど…何でコンバットナイフと対人格闘術が要るのか。社会に出すことを考えてるのかーってのは序盤から見えているし、後半には人物の造形がブレブレ。スーパーの強盗にいたっては祖父の言うとおりだろうなあ。
そして、これは私の見間違いかもしれないが、もしかして字幕にミスがあったのでは?
×鈍器損傷 ⚪︎臓器損傷 ?
体が求めていた映画
子育てっていろいろだな
夫のチョイスにより、予習なしで観に行った作品。2007年に観た映画以来思い出すことがなかったノームチョムスキーの名前や思想を聞くとは、懐かしかった。隣の人が私とは異なるポイントで幾度も笑っていたので、教養があればもっと楽しめたのかもしれない。
子育てはいろいろだ。ベンのように全てを伝える子育ても、伯母さんのように子どもを守るために情報を操作する子育てもあり、どちらが正しいとも良いとも言えない。しかしながら、大学へ行くにも渡航するにも物資を購入するにも、結局は「お金」が必要なのだと改めて痛感した。
宗教の風刺を描いた作品としては、PKの方が好きだ。この映画は宗教について、PKのようなメッセージをこめたものではなかった。宗教の話は好かないので、両作品くらいの扱い方が私には良い。
奇しくも、前回同劇場へ行ったときも、火葬場以外で火葬を勝手に行う作品を観た。たまたまなのか、最近の流行りなのか。ちょっと気になる。
ひどいけど憎めない
ホームスクーリングであそこまで叩き込むのはスゴイと思うけどやはりその限界もある。その限界に父が気づくのはよかったけれど、母親(妻)の命が犠牲になったことを考えると、代償は大きいと感じる。などなど、いろんなことを考えてしまったけど、映画の中に出てくる子どもたちはみんな本当に魅力的で生命力に満ち溢れていて、魅了された。お父さんの教育法には色々問題もあるけど、興味深いという感想じゃダメで自分の意見、考察を求められる、つまり自分の頭で考えて自分の言葉をもつことを求めるやりとりは共感だし、最後に巣立つ長男にかけた言葉、とくに女の子の扱いについてかけた言葉はあの父親らしくて、最後まで憎めなかった。
批評性に飛んだ作品
家族愛、常識についてなど切り口はたくさんありますが、この映画はエゴを扱った物語だと感じました。
父親は子供たちを支配するモンスターで、社会から孤立した環境で彼らを洗脳しているように見えます。
そのような中、ある事件をきっかけに父親が自らの過ちに気づき、森の生活を選んだ本来の理由を思い出すことで愛の意味を再確認でき、その結果家族の絆が再生していきます。
閉じられた世界の中の暴君であるCaptain Fantasticから地に足のついたCaptain Realistic に転回するところにドラマがあるなぁと感じました。
しかし、個人的には冷めてました。それまでの父親のやり方は度が過ぎていて手遅れに近いと思ったから。
8歳の子供が合衆国のナンチャラを暗唱し、自分の考え(という名の父の思想)を語るという背筋が凍るシーンがあるけど、小さい子ほど父親の価値観に疑いがなく、純粋培養なのが伝わります。父の改心で一家は社会の中に戻るが、生まれてからずっと森で育った若年グループの子供たちは、ゲームをはじめポップカルチャーが氾濫する現代の子ども社会にすんなりと馴染めるのだろうか?今までの社会を敵視した価値観を持ちながら適応はできないだろう。
エンド後の彼らの大変さ・苦しさは想像を絶するものになると思います。オヤジ罪深過ぎます。
(子どもだから可塑性が高く、今の家族関係が安全なのですぐに馴染む可能性もあるけど)
一方で、頻発するブラックなギャグは基本気まずくて面白かったです。チョムスキーおじさんの誕生日は気持ち悪すぎで最高でした。あれ、チョムスキー本人が見てもキモいと思うだろうな。
現代の価値観に疑問を抱かせつつ、一家の価値観もどうなのか…と投げかける本作品はとても批評性が高いと思います。従って、多様な受け取り方ができるような作品なのでは、と感じた次第です。
父親が問題ありすぎに感じられたため、個人的には作品に没入できませんでした。しかし、色々と思いを巡らせることができる深い内容だったため、結果的に観て良かったと言えます。スイートチャイルドのメロディの良さを再認識できたし。アコースティックバージョンは本家ガンズより好みかも。
a happy hippie family
人里離れた山奥に暮らしながら、個性的な6人の子供達を教育するお父さん。
野生動物を狩り先住民のような成人の儀式、自給自足の生活、護身術や厳しい体育を行い、様々な書物で科学や文学、政治的思想や哲学を教え、試験もするし、楽器を奏でて即興演奏もする。子供だからと言って、彼らの素直な疑問にあやふやな回答はしない。家族の団結力は強く、親を敬い、兄弟で助け合う。
学力や能力という面では学校教育より優れてみえました。お父さん凄すぎです(^^;)。
しかし社会生活や人間関係の構築、多様な価値観だけは、いくら大家族でも学べない。同世代と関わりながら共に成長する機会も必要ですよね。
お父さんが何故アンチ資本主義となったのか、何故あれほど文明に反抗するのか、弁護士だった母親の詳細など、その辺りも知りたかったです。
お父さんの後悔の涙、家族の絆に泣けました。
子役がみんなとても良かった。
子供達、軍に志願したら重宝がられるだろうなぁ。
ん?思想的にダメかな?
自然と暮らす家族の葛藤と人生で賞
気持ちは解るが呑み込めない
多くの方が書かれている通り、お父さんの教育方針について
様々な感想を語りたくなる映画であり、そこが本筋の話。
だから、本筋と関係ない枝葉に
突っ込みを入れるのは、お門違いなのを重々承知で、
それでも、どうしても女として呑み込めなかったのは
そもそもこの一家が山奥暮らしを始めた理由が、
現代社会への批判は勿論だけど、何より1番はお母さんの心の病に
良かれと思って農園から更に人里離れた山奥暮らしを始めた。
と、亡くなったお母さんの親に告白していた訳で、
人の心は難しいけど、そんなに重い心の病いの人が
6人も子供を産めるものだろうか?
そこのところがやっぱ呑み込めなくて、
途中はちょっと乗れなかった。
現代社会と山奥暮らしの子供達のギャップは充分面白いし、
子供達の中にも、このお父さんの教育方針に
疑問を持つ子も出て来て、そこは、納得できる部分でも有るので
面白く観れたと思う。
兎に角、子供のいる人には観て貰いたい映画です。
学校の意味って(笑)
つくづく教育って、教育者を超える知識は得られないんだなと実感できました。部活も指導者が変わると強くなったり弱くなったり…、あの論理と一緒ですね。
お父さんもすごく頭いいだろうに、学校行かなくてもいいっていう発想で、あそこまで子供達を伸ばせるんだから、教員必見の映画では?
学校って何を教えるべきなんだろうと、強く考えさせられたし、翻って日本では文科省がいちいちうるさいなぁと思うこともあって、果たして英語力が足りなくてなんだっつーの?と思ったりして、私はこういう教育もあり派です。
笑って泣けて、知的に問題意識を与えてもらえた、素晴らしいエンターテインメントを堪能できました。
最初の汚さ、レベナント再び?と心配したけど、かわいすぎる子供達でよかった(笑)。この中から、誰がスターになるのかな?
母、妻、娘の死を悼み乗り越える
巣立ち
少し共感しづらい
原題「Captain Fantastic」邦題いまいち。主人公がエキセントリックすぎて、なかなかに共感しづらい。子供たちは、最高に可愛い。あと音楽がいいなあと思った。まぁ、ヴィゴが泣く演技は最高にカッコイイ(と指輪の時も思ったのだが)ので、満足である。
実話だったら面白いなぁ
衝撃的なオープニングの割に、その後はそれほど不気味ではなく少し残念。もうちょっと突き抜けて欲しかった。鹿の革で出来た服とか着てても良かった。
行き過ぎた現代社会に嫌気がさして、山の中で子育てをする夫婦。気持ちがわかるだけに、もっと極めて欲しかった気がする。
でも、人間は社会を構成してその中で生きていく動物。家族の生活は無理、矛盾のひずみがだんだん深くなっていき…
終わりのシーンが良かった。
傷ついても苦しんでも生きていく。
支え合って生きて行く。 全部を受け入れて生きて行くと言う感じ。
家族ってそういうものだよね。
物質的な豊かさを得て、心の豊かさを失っている。今の私たちはそのことにうっすら気がつきながらも流されて生きている。
そんな心の中を代弁してくれているような映画。
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