「商業的成功は無くとも」レッドタートル ある島の物語 うにたん♪(新型コロナで巣籠もりDVD観賞)さんの映画レビュー(感想・評価)
商業的成功は無くとも
現したいものを作り、表現する事自体に意味を感じる作品。
ジブリ絡みのような表現もあり、誤解を受ける事もあるだろうが、今のジブリが実験的機会でもない限り作らないタイプの作品である。
物語はセリフらしいセリフはなく、冒頭から遭難した男の短絡的な行動を見せられる。
漂着した島で飲み水、食い物を探し筏を作り島を出ようと画策するが海中からアカウミガメの攻撃で筏を壊され続ける。
しかし陸に上がってきたアカウミガメを発見した男はアカウミガメを殺してしまう。
カメを殺した事に苛まれながら、カメに寄り添う男。
そして衝撃の展開!カメが女になっていた。
カメ女は自らの甲羅を海に流し、島に住む姿を見せた為、男も筏を海に流し島でカメ女と一緒に暮らすようになる。
だが浦島太郎とは逆なのでエライ心配になる。
この時点で想像力を喚起させながら観ることを余儀無くされ、突如幼児が現れるので「お?おお!」となり、新しいおとぎ話を見せられている気分になった。
子どもに見せたらどんな反応をするのか?興味深い。ただ反応を見るだけでも面白いが、この作品のナレーションは横に座った親がすれば絵本を読んでいるようなものではないか?
絵本1つ読んでもその家の親が読んだ雰囲気で違うと思う。
話は反れたが親子三人暮らせるだけのモノがあるのだろう…子どもはスクスク成長した頃に突如海が引き津波によって流される。
助かった後の後片付けを見ていると作品とは関係ない事を思い出すのは日本人だからだろうか?
成長した息子が他のカメと共に島を旅立ち、男が眠るように寿命を迎えた時にカメ女は寄り添い、アカウミガメなり海へ帰っていく。
色々な解釈が各々にありそうな作品ではあるが、始まれば黙って観てしまう力がある作品ではある。
「なんだこれは?」と感想を言い合うのも良し、
しんみりと浸るのも良し…といったところか?