「最強の敵に立ち向かう超人達の最終戦」X-MEN:アポカリプス みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
最強の敵に立ち向かう超人達の最終戦
X-MENシリーズ第6作にして最終作。今回の敵は過去最強。今までとは異次元の怪物。ミュータントの始祖である古代エジプト時代のミュータント・アポカリプスである。
この手の作品では、敵は憎らしい程に強く、キャラ立ちしているのが必須であるが、アポカリシスはミュータントの始祖というよりは、“魔王”が蘇ったという感じであり、特殊能力者という域を遥かに超えている。人気冒険活劇ハムナプトラを彷彿とさせる怪物である。
1983年の現代に蘇った魔王は、人類の堕落を憂い、黙示録の四騎士のように、4人のミュータント達を従え、人類を滅亡に追い込んでいく。数千年に渡り、ミュータントの体に乗り移り、途方もない特殊能力を身に付けた魔王&四騎士に、プロフェッサーⅩを始めとするX-MEN達は、満身創痍になりながらも敢然と立ち向かっていく・・・。正直、今回の敵は凄すぎて、Ⅹ-MEN達に勝ち目はあるのか?というのが本音だった。
最新のCGを惜し気もなく駆使した、Ⅹ―MEN達と、最強の敵である魔王&四騎士のバトルは、圧倒的な迫力であり、見応え十分。CG技術の進歩でバトルシーンは回を重ねるごとにエスカレートしている。但し、ここまでくると、特殊能力というよりは、劇画の世界に踏み込んでしまった感がある。ドラゴンボールを観ているような感覚になる。
但し、そんなバトルの中で、超高速特殊能力の見せ方は面白かった。実際の人間の動きをスローモーションにしているので、凄いというよりは、コミカルな感じがあり、殺伐としたバトルの中で、一服の清涼剤的な役割を果たしていた。ラスト近くでの、魔王の脳内バトルも、肉弾戦ではなく心理戦のような趣があって斬新だった。
一方で、詳細に観れば、地球外、宇宙に捨てられた核兵器はどうなったのだろう?放置?破壊?放射能の影響は?四騎士が魔王を裏切るのは安易すぎない?何故?など、突っ込みどころは満載である。しかし、荒唐無稽な物語にそんなケチを付けても大人気ない。ここは、鑑賞スイッチをエンターテイメント“強”にして観るべきだろう。
X-MEN達が、自らの能力を制御できず苦悩する。特殊能力者というマイノリティの立場に苦悩する。というヒューマンドラマは従来通り健在であるが、圧倒的でド派手なバトルに押され、些か影が薄くなっている感は否めない。
最終的には、X-MEN達が総結集し、一致団結して魔王を倒して、人類滅亡は回避され、大団円となる。些か話が大仕掛けになり過ぎた感はあるが、最終作として、全てが落ち着くところに落ち着いたというところだろう。有終の美は飾れたと納得した次第である。