「『最高の人生の見つけ方』とは全く別物であるが、ともにロブ・ライナー、モーガン・フリーマンが絡んでるので、勝手につけられた邦題。」最高の人生のはじめ方 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
『最高の人生の見つけ方』とは全く別物であるが、ともにロブ・ライナー、モーガン・フリーマンが絡んでるので、勝手につけられた邦題。
もしやまたギミックがあるのではないか?と勝手に思っていたが、完全にハートフル・ドラマだった。長女のウィロー(キャロル)は今まで住んでいたマンハッタンに帰りたかったが、離婚間近のシャーロット(マドセン)はそれを許さない。9歳になる次女のフィン(エマ・ファーマン)はモンティ(フリーマン)に近づき、小説の書き方を教わろうとする。しかし、彼は6年前に妻を亡くしてから執筆を止め、閉じこもりがちとなっていて、小さな女の子でさえ突き放そうとする。それでも“想像力”を使えと彼女に教え、簡単ではあるが、個人レッスンが続けられた。三女のフローラの誕生日にはゾウを主人公にした童話を作ってあげるなど、徐々に心を打ち解けはじめるモンティ。母親のシャーロットも好意を抱きはじめる・・・ベートーベンの“悲愴”を奏でるシャーロット。この曲が二人を惹きつけあった。
車いすが欠かせない主人公のモンティ。誰も理由を聞かなかったが、別れの日の前日、ちょっとだけ気まずくなったフィンだけに打ち明けるモンティ。元はメジャーリーガーを目指していた彼がカージナルスから打診があった時、交通事故に遭ってしまったというのだ。彼の妻はそれでも別れず、一生彼のために尽くし、彼は彼女の支えもあって小説家の道を切り開いたのだ。「ジューバルの冒険」という西部劇作品は多くの人に愛され、何もできない彼を投影したキャラでもあった。
モンティが想像上で作り上げた自分が月明かりの下でワルツを踊り、シャーロットにキスをする夢を見る。そして離婚調停が全て終わり、帰宅するシャーロットはベビーシッターを終えたモンティにキスするところで感極まってしまった・・・俺が。大人の切ないほどの恋愛模様。このまま終わりか?と思っていたら、やっぱり戻ってきたモンティ。あれほど断り続けていた「ジューバルの冒険」の映画化権を売ってまで。はじめ方=ふっきり方なんだな。
アルコールを断つこともいい描き方だったし、自閉症のカールに小説の登場人物の役割を与えて心を開かせる手腕も見事。ただ、誕生パーティのシーンでは銃を使ってしまったのが日本人にはウケないところか・・・