インサイダーズ 内部者たち : 特集
「スター・ウォーズ」最新作をはるかに超え、韓国歴代No.1ヒット!
爽快なラストが待ち受ける、映画ファンに見てもらいたい「ホンモノの韓国映画」
2015年11月に公開されて以来、「スター・ウォーズ フォースの覚醒」も吹き飛ばす勢いで韓国で大ヒットを続けている話題作「インサイダーズ 内部者たち」が、ついに3月11日に日本公開。今や世界的スターとなったイ・ビョンホンが、脚本を一読しただけで出演を即決したという、二転三転するストーリー・テリングに注目だ。
■「ホンモノの韓国映画」が久々に帰ってきた──
「アジア映画の枠」を超え、
ハリウッド映画ファンをも満足させる痛快サスペンス・アクション!
手に汗握るスリルと、幾重にも張りめぐらされた謎とサスペンス。見る者をグイグイと物語へと引き込み、ラストには痛快な結末が待ち受けているという、アジア映画の枠を越えたサスペンス・アクション・エンターテインメントが登場した。それは、財閥と政治家が癒着する巨大な腐敗権力をめぐる壮絶な駆け引きを描く「インサイダーズ 内部者たち」。普段はハリウッドの娯楽超大作や、高い作家性が光るミニシアター系作品を中心に鑑賞している映画ファン、普段アジア映画にはそれほど縁がないという映画ファンでも満足できるのは確実な「ホンモノの韓国映画」が、スクリーンに帰ってきたのだ。
日本人の3倍映画を見るという映画大国・韓国。「インサイダーズ 内部者たち」は15年11月に公開されるとたちまちR指定作品としては最高のオープニング記録を樹立。動員数は800万人を超えて現在なおも更新中、ついに「アジョシ」「友へ チング」を超えて歴代No.1ヒットを達成した。この数字は、「スター・ウォーズ フォースの覚醒」を軽々と超えるものなのだ。
わずか3作目にして、歴代No.1ヒットの栄光を勝ち取ったウ・ミンホ監督は、いわば無名の存在だった。だが、なぜ彼が、今やハリウッドで活躍する大スターとなり、本年度アカデミー賞のプレゼンターにも選ばれたイ・ビョンホンの主演を実現できたのか。それは、監督自らが手掛けた脚本が素晴らしかったからに他ならない。物語を一読したビョンホンは主演を即決。協力を惜しまないと誓わせたほどの内容だったのだ。
近年、日本で公開される韓国映画の多くは、韓流スターやK-POPグループのメンバーが主演・出演した、熱烈なファンに向けた作品。マスコミ試写に足を運ぶ評論家や媒体も、韓国情報の専門誌系が多かった。だが今作の事情は大いに異なる。本国でのヒットの状況と描かれる題材に、一般の新聞、週刊誌もザワつき、そうしたメディアの人間が、連日試写に訪れているというのだ。これまでとは明らかに違う盛り上がりは、「ホンモノ」の証拠だ。
■「シュリ」「友へ チング」「グエムル」──
「名作韓国映画」で経験した「あの興奮」が再び!
“学なし”チンピラדコネなし”検事が、今、巨大な権力に戦いを挑む!
財閥と政治家の癒着が、巨大な腐敗権力を作りあげている現代の韓国。本作は、そんな理不尽な世界に真っ向から戦いを挑む者たちの姿を描く壮絶なサスペンス・アクションだ。
財閥と政治家の間で取り交わされる密約と裏金、その一連の流れを影で操るのが、メディアを牛耳る策士・ガンヒ(ペク・ユンシク)。ガンヒに雇われ、裏の仕事を代行してきたチンピラ、アン・サング(イ・ビョンホン)は、裏金をめぐるファイルを手に入れ、成り上がりを画策するが失敗し、大きな傷を負う。一方、同じ裏金事件を追っていた検事ウ・ジャンフン(チョ・スンウ)は、サングに証拠を横取りされたために左遷の憂き目に遭ってしまう。
社会のどん底まで落ちてしまった2人の男、復しゅうの鬼となった学なしのチンピラ・サングと、正義の執念を燃やすコネなしの検事・ジャンフン。ジャンフンはサングの行方を突き止め、一発逆転の「告発」を持ちかける。復しゅうと正義に駆られた2人の男は果たして手を組むのか。そして、野望を突き進めようとする策士を止めることはできるのか。それぞれの思惑をはらんだ戦いの勝者は一体、誰だ?
ハリウッド・アクション並みの大ヒットを決めた「シュリ」、ヤクザとなった幼なじみたちの切ない友情が感動を呼んだ「友へ チング」、「スノーピアサー」のポン・ジュノ監督が壮大な想像力を発揮した「グエムル 漢江の怪物」と、アジアから生まれた傑作エンターテインメントをあなたは覚えているはずだ。「インサイダーズ 内部者たち」もまた、そうした作品群に連なる、映画ファン必見の韓国映画。スリルと興奮、そして痛快なカタルシスが待つ要注目作なのだ。
■「アフタースクール」「鍵泥棒のメソッド」の内田けんじ監督に聞いた!
本作が、なぜここまで面白いのか?
二転三転する驚きの展開と、張りめぐらされた数々の伏線が一気に回収されるラスト、そしてユーモアあふれるキャラクターたちが登場する作品群で、映画ファンを魅了してきた内田けんじ監督。自ら脚本も手掛けた「アフタースクール」「鍵泥棒のメソッド」の気鋭監督が、「インサイダーズ」の面白さを語った。
「スピーディーでスリリングな展開のなかに、次々と現れる魅力的なキャラクターたち。リアルな社会問題を、見事にエンターテイメントとして魅せた脚本と役者陣の力に感動しました」と、その面白さの真髄を「脚本の力」「キャストの力」と明かした内田監督。「脚本が素晴らしくて、出てくる役者が全員うまくて、リアルな社会問題を描いているのに重たくさせないテンポとユーモアがあって……こんな映画面白いに決まっているし、すげえ面白かった」というのが素直な感想だったそうだ。
キャストでは、学のないチンピラ役を演じたイ・ビョンホンが出色だという。「イ・ビョンホンってやっぱりものすごい魅力のある役者さんだなと、この映画を見て改めて思い知らされたのですが、この、ワイルドで危険だけど愛きょうがあって色気のある主人公は、本当にハマり役だと思いました」と魅力を語り、「彼が落ちぶれて、クラブのトイレで働いているシーンは特に好きでした。客から強引にチップをねだるふてくされたチンピラの姿がおかしかった」と印象的なシーンをピックアップ。さらに「しかしまあ、メインキャストも脇のキャストも隅から隅まで、とにかく役者さんは全員素晴らしかった。ほんの数シーン出てくるだけの人物にもそれぞれに物語を感じるし、もっと見たいと思わせてくれるキャラばかりでした。それは脚本、演出のすばらしさはもちろんありますが、やはりこの豪華な役者陣の力だと思います」と続けた。
印象に残ったシーンを聞くと、「やっぱりあの『宴会』というか、『裏社会の接待』を受けるシーンは印象的でしたね」と回答。どのような接待が繰り広げられるかは本編を見てのお楽しみだが、「『ここまでするか?』と思いつつ、妙なリアリティがあるし、面白い。他にも、時おり入ってくるちょっとしたユーモアのある、笑えるシーンがとても好きでした。こんなに殺伐とした設定なのに重苦しくならず、気持ちよく見られるのは、シリアスな展開の中に少しだけ、絶妙なバランスで入ってくるコミカルさが素晴らしいからだと思います」と、脚本の妙を指摘した。
ラストには内田監督作と同じように「驚きの展開」が待ち受けているが、内田監督も「結末には驚かされました」と明かす。だが、「あとは何を言ってもネタバレになると嫌なので、言いたくないです」と言葉を結んだ。