劇場公開日 2016年7月1日

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「わが心にアイルランド」ブルックリン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0わが心にアイルランド

2016年12月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

幸せ

萌える

今年のアカデミー作品賞ノミネート8作品の中で、最も受賞の可能性が無かったであろう本作。
しかし、佳作である事は間違いない。

アイルランドからアメリカNYブルックリンへ移住してきた少女。
根底には日本人にはちと分からないアイリッシュ・スピリッツなるものが込められているであろうが、あくまで少女の成長&青春ラブストーリーとして描かれているので非常に見易かった。

地元アイルランドの小さな町に居ても特に夢がある訳でもなく、姉の薦めでアメリカへ行く事を決めたエイリシュ。
が、新天地になかなか馴染めず、家族の手紙に号泣、ホームシックは募るばかり…。
故郷を飛び出して都会へ来たのはいいものの現実の厳しさを痛感する若者は古今東西一緒。

そんな彼女を恋が変えた。
陽気なイタリア移民の青年との出会い。
勤め先のデパートで客と満足に話す事も出来なかったほど内気だったが、自信に満ち溢れていく。
誰かの存在や支えって、最高の活力剤。

突然、姉が急死。
ホームシック中も勇気付けてくれたのが姉だったので、悲しみは大きい。
一旦、帰郷。
そこで思わぬ出会いが…。

「つぐない」「ラブリーボーン」など着実にキャリアを積んできたシアーシャ・ローナンにまた一つ、新たな代表作!
少女が成長していく輝きと繊細な心境の変化を、情感たっぷりに。
美しく成長した彼女がさらに美しく洗礼されていく外見もさることながら、内面の機微を卓越した演技で魅せている。

1950年代のノスタルジックな映像以上に、ファッションの美しさ!
レトロながらカラフルで画面映えし、それはヒロインの成長や変化をも的確に表している。
ファッションには疎い自分でも本作のファッションの美しさには目を見張るものがあり、女性の方ならさらに共感する筈。

ブルックリンで出会った恋人。
帰郷して出会った地元の魅力的な男性。
二人の男性の間で揺れ動く安易なメロドラマにはならず。
どちらを選ぶかより、どちらで生きるか。
彼女の心はもう決まったいたのではないか。
望郷の想いを込めて。

近大