「相反する論理の狭間で」教授のおかしな妄想殺人 なべたくさんの映画レビュー(感想・評価)
相反する論理の狭間で
''哲学は言語による自慰''と宣う哲学教授が自身の教え子と哲学とを戦わせるも、最後には直感が勝り悲劇を招く。その様は、あまりにもシニカルかつ新たな哲学と、アンダーソン風に言えば''暗い笑い''を匂わせる。
カント、サルトル、ドストエフスキー等の名をちらつかせる様は、ミッドナイト・イン・パリ同様、元ネタを知らないと作品世界に入り込むタイミングを逃してしまうかもしれない。
エマ・ストーンの可憐さだけでなく、二人の男と二元的価値観に葛藤し鬼気迫る様は一つの見所として挙げられよう。
邦題からは察しがたいが、哲学教授を題材に''irrational man''というタイトルを冠するあたりはウッディ・アレン流の皮肉を感じさせる。
また淡々としている様で、神経を尖らせなければ真意には触れられないであろう佳作。
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