「.」スナッチャーズ・フィーバー 喰われた町 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。原題"There Are Monsters"。BDMやSEの入ったPOV。全篇、意図的に稚拙っぽく作っているが、誰がどこから撮っているのか判らないシーンも散見出来、何故POVに拘ったのか疑問。カプグラ症候群と云う実在の症例や有糸分裂と云う生物用語を持ち出す反面、謎のカットやシーケンスも多い。冒頭から落ち着かないアングルに混乱したカメラワーク、そして説明を放棄した様な展開等が全てを台無しいしている。些細な異変が積み重なり違和感と不信感が募る丁寧に綴る中盤迄が佳かっただけに勿体無い。50/100点。
・本作はあくまでPOV風と云うのが正しいかもしれない──特にラスト、バスでのシーケンス等はその手法を無視しているか如くに思える。エンドクレジットも余りお眼にかかれない珍しいタイプ。初めと終わりに登場するタイトルコールも凝っているが、内容に無関係な木漏れ日が何故バックなのかは判らない。
・カナダ産の本作は、'08年に有料配信されたオンライン・ムービーが元になっている。これは雪の残る裏庭で奇妙な少女を見掛けた後、ディナーパーティーを開こうとする展開で約10分の短篇である。K.ランジール演じる“ベス”やその家族のキャストは続投し、K.パークヒル演じる“店員”とのレジの遣り取りの一部や散乱した店内の様子は本篇でもその儘使われている。
・オンライン・ムービーの成功を受け、"Harton Inverviews"のタイトルで長篇化した本作の製作が'08年に開始された。その後、5年間のポストプロダクションを経て、より商業的に魅力的なタイトルに変更され、'13年にリリースされた。
・鑑賞日:2016年10月30日(日)