華麗なるヒコーキ野郎のレビュー・感想・評価
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時には昔の話を。 “狂騒の時代“を駆け抜けた飛行士たちへ贈るセレナーデ✈️
1920年代のアメリカを舞台に、命知らずの「バーンストーマー」(サーカスの様に旅興行を行う曲芸飛行士)、ウォルド・ペッパーの生き様を描く航空ドラマ。
主人公、ウォルド・ペッパーを演じるのは『明日に向って撃て!』『スティング』の、レジェンド俳優ロバート・レッドフォード。
第一次世界大戦の終結から世界恐慌までの狭間の時代、戦後の繁栄を享受する人々が狂騒と狂乱に明け暮れた“ジャズ・エイジ“。消費主義と享楽主義が幅を利かせ、人々はより過激でデカダンな娯楽を求める様になった。
そんな時代を駆け抜けた「バーンストーマー」たち。戦後、食い詰めた飛行士たちが自らの腕と度胸だけを頼りに危険なアクロバットに挑戦し、観る者を興奮と浪漫の渦に引き摺り込んだ。
また、飛行士たちはスタントマンとしてハリウッドにも進出。第1回アカデミー賞で作品賞を受賞した『つばさ』(1927)に代表される様な航空映画の歴史が花開いてゆく。
本作は、民族や国家、企業といったくだらないスポンサーを背負い込まずに空を飛ぶ事が出来た最後の時代の飛行士たちへ贈るセレナーデ。サイレント時代の映画を思わせる1.33のアスペクト比と、巨匠ヘンリー・マンシーニによるグラマラスでゴージャスな劇伴が、過ぎし日への郷愁と憧憬を掻き立てる。
監督を務めるのはジョージ・ロイ・ヒル。『明日撃て!』(1969)と『スティング』(1973)で大成功を収めた彼が、三度レッドフォードとタッグを組む。
ロイ・ヒル監督はWWⅡ、そして朝鮮戦争と、2度に渡りパイロットとして従軍した経験を持つ根っからの飛行機乗りである。本作で彼は脚本/製作も自ら手掛けており、さらにその主演に盟友レッドフォードをキャスティングするという力の入れよう。『明日撃て!』や『スティング』ばかりが取り立たされ、本作はほとんど忘れられた映画と化してしまっているが、これこそがロイ・ヒル監督の撮りたかった情熱の一本である事を、今のシネフィルにも覚えておいて欲しい。
本作の見どころは、やはりなんと言っても主人公ペッパーを演じたレッドフォードの色気💕空に死場所を求める益荒男をワイルドに演じており、男の目から見てもため息が出るほどのカッコ良さ。
この頃のレッドフォードはほとんど若い時のブラピと顔も役柄も一緒。前々から思っていたけど、やっぱりこの2人めちゃくちゃ似てる。何度「あれこれブラピ?」と思った事か。正確にはレッドフォードがブラピに似ている、じゃなくてブラピがレッドフォードに似ていると言うべきだろうが、まぁ要するにとにかくカッコ良いのです❣️
この映画には浪漫を胸に空を駆けた飛行士たちへの惜別の念が込められているのと同時に、から騒ぎに明け暮れたジャズ・エイジの空虚さをも描き出している。
英雄になれなかったペッパーと、英雄になってしまったケスラー。生まれた国も立場も全く逆でありながら、同じ種類の虚しさを胸のうちに秘めている事を察知し、それぞれが死場所を得る為に命懸けのドッグファイトを演じる。
この2人の詩情に溢れた戦いは見事だが、この戦場がハリウッドの撮影現場であるというのがなんとも気が利いている。1910年代、何もないロサンゼルスの荒地に移り住んできたヤマ師たちが築き上げた虚構と虚飾の王国、それがハリウッド。歴史的な事実よりも英雄的な嘘を重視して作られたデタラメで虚な物語は正に資本主義そのもので、その中で命を賭けるペッパーたちスタントマンはシステムの中で、文字通り使い捨てられるだけの人間なのである。
ジャズエイジという表面上は華やかな時代を、まるでハリボテかの様な突き放した視線で描く。それは資本主義に塗れた現代社会(ニクソン政権下の混沌とした70's)へのカウンターという側面もあったのかもしれない。
牧歌的でおおらかな航空ロマンから一変、スーザン・サランドン演じるメアリー・ベスが事故死する辺りから一気にトーンが暗くなる。後半、ハリウッドに舞台が移ってからはまた爽やかなトーンに復調するが、かなりデコボコな印象を受ける話運びである。
また、『スーパーマン』(1978)のマーゴット・キダーが演じるペッパーの恋人も、途中から完全に居ないものとして扱われてしまう。俗に言う「猿空間送り」である。ペッパーの代わりに命を落とした親友エズラは彼女の兄だった訳で、当然その死に対しては複雑な心境だったはず。そんなキーパーソンにもなりえた彼女を途中で完全にフェードアウトさせるというのはあまりにも作劇として酷すぎる。脚本に関してはもう少し手直しが必要だったと思いますねぇ。
良くも悪くも「隠れた佳作」といった印象の作品。確かにこれは隠れてしまうのも無理ないよな、と思う一方で、この不思議な爽やかさは嫌いではない…というか普通に好き。実機での撮影に拘ったという空中アクションもなかなかに見応えがあり、50年前の作品なので当然古さは感じるのだが、だからこその新鮮な驚きがある。ストーリーは少々退屈だが、それでも観る価値は充分にあると思います。
また、本作はジブリファン、特に『紅の豚』(1992)ファンには是非観てほしい一作。舞台となる国こそ違うが時代はほぼ同じであり、最後のドッグファイトはかなりそのまんま踏襲されている。本作とセットで観ることによって、より作品の理解度が高まる…かも?
ヒコーキ野郎の意地
時代の終わりを描いた悲しい映画
曲芸飛行、飛ぶことの魅力に取りつかれたパイロットたち、そして一つの時代の終わりを描いた映画
コメディタッチの笑わせるシーンもあるんだけれど中盤、興行主がウォルドに「お前はいい奴だが疫病神なんだ」と言われ悩む顔を浮かべながら去るシーン・・・助けられる命が助けられなかったことを苦悩しているんだなと思った。どちらかと言うとこういう悲しいシーンが印象深い
怒りに駆られ群衆の上を飛行機でぶっ飛ぶ・・・映画の撮影でかつてのライバルと飛んでいたら戦争のことを思い出し体当たりの戦闘をする
こういう感情的に生きる荒っぽいところがウォルドの魅力だなと思った。
冒頭に映る命を落としていった曲芸飛行師たちの写真、そしてエンディングに主人公のウォルドペッパーもそれのように最後、写真が写って彼もそんな曲芸飛行師でああいう最期を迎えて本望だったのではないかと感じた・・・
空中戦
複葉機での華麗な曲芸。単葉機との差なんてさっぱりわからないけど、こだわり続けるアレックス(スヴェンソン)とウォルド(レッドフォード)のコンビが最高。スーザン・サランドンとの出会いのシーンもコミカルで楽しいレッドフォードの一面が見られる。
逆立ち、ローラースケート、フルート吹きなど、曲芸の色んな案が飛び出すが、「セックスだ!」などとバカなことを言いだす野郎ども。結局サランドンを翼に乗せる曲芸をしている途中、不運な事故が・・・手に汗握るシーンでした。
ハリウッドに行ってからは映画のスタントマンとして活躍するウォルド。曲乗りをするんじゃなくて、ケスラーとの戦いを撮るという。映画の内容もケスラーの物語りで、メインとなる一騎撃ちを撮るのだ。実際の戦争で行った敵機にも敬礼をしたという伝説。映画とはいえ、ケスラーと対戦するなんてウォルドにとっては夢のような話だったのだ。
空中戦も見事だったけど、「この映画ではもう二人死んでるんだ」という監督の言葉に驚いてしまいました。ほんとですか・・・?
素晴らしかった
自由を求めて危険をかえりみないアウトローの矜持がびしっとしていて楽しくて切ない。ドイツ空軍のパイロットがハゲなのにかっこいい。あんなレベルの高い者同士で認め合っている感じがまた素敵であった。
飛行機のアクションが、飛行機がぼろいのですごくハラハラするし、容赦なく人が死ぬので気が抜けない。最初にヒロインが死んでから何が起こるか分からない映画になった。
飛行機に取り憑かれた野郎の物語。 映像も古く飛行機も古い。それが故...
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