「.」グッドナイト・マミー 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。オーストリア製、原題"Ich seh ich seh("I see, I see"の意)"。豊かな自然が彩られた鮮やかなショットと、偏執的でドロドロとした異様な心理的駆け引きがなされる無彩色な室内が対比をなし、微かに流れるBGMが不安を煽る。やや長目の尺乍ら、開始早々に予想した通りのストーリーで意外性は無かったが、最後迄厭きさせぬ惹き付ける魅力を持った作品だと思う。但しうっかり可愛らしい双子や美しい風景に気を取られ見惚れていると、痛い描写もしっかり出て来るので要注意。70/100点。
・オープニングは、G.スピルマン監督の『3つの不倫('04)』内でS.ヴーストが唄った本作の肝となるナンバーの引用で始まる。尚、この曲名は本作の英題にもなっている。
・割と早い段階で気付かされるが、邦画の『サイレン ~Forbidden Siren~('06)』を思わせる設定が隠されている。亦、『クリープショー('82)』の一エピソード「奴らは群がり寄ってくる "They're Creeping Up On You"」を彷彿させるシーンも途中登場する。
・説明や物語の背景をとことん削ぎ落とし、作品の進行と共に徐々に真相が明かされて行く作りだが、製作の際は出演者達に脚本を渡さず、現場現場で科白を附け、作品の展開と同じ順序で撮影が行われたと云う。
・240組の双子をオーディションし、選ばれたエリアスとルーカスのシュヴァルツ兄弟のファーストネームがその儘、役名となっている。
・エンドクレジットには猫の“レオ”に加え、“ナーマル”と“マチルダ”がスタントしたゴキブリ("Stuntschaben[The Stunt Roaches]")としてクレジットされている。亦、一番最後には"Shot on glorious 35mm"と表示される。
・鑑賞日:2016年6月7日(火)