スポットライト 世紀のスクープのレビュー・感想・評価
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信仰と教会は別
今も多分この問題でバチカンは揺れているらしい。
教師の性虐待とよく似た構造があるが、生死、魂、生き方、価値観、社会化などのかだいでは、信者と家庭ぐるみでより深く関わる聖職者が加害者であり、教会が組織的に隠蔽していた事が重大だ。
時々報道されていたが、映画で見るとリアルさがあり、特にカソリックの伝統の中で育った記者たちが、自分の中の何かが壊れたように感じてしまう所が、しっかりと描かれていた。
現代社会で宗教の果たす役割は、変化してきた。しかし、宗教にしか扱えない大切な問題はたくさんある。
私自身の生活と直接関わる問題というわけではないし、どこまで理解できたのかは心もとないが、何か人の心の深い部分に響く映画だった。
うん、よかった。けど、地味…?
そこまでの道のり。
第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞に輝いた作品。にしては
地味だなぁ~と思った人も多いだろうとは観ての感想。面白い
面白くないというよりこれは社会問題でエンターテインメント
ではないんだぞというドライな描き方が好き嫌いを分けそうだ。
キャスト全員が助演賞でも良さそうな巧みな演技。事実を公に
するということは地元読者を敵にまわすようなことになろうと、
新任編集局長としてやってきたユダヤ人のバロンはへっちゃら。
「スポットライト」というからには度肝を抜くような記事でなけ
れば、というこの局長の心意気とそれに従う4人の精鋭記者が
へこたれずに地道な取材を続けたからこそのスクープになるの
だが、この児童虐待行為は一般社会に蔓延っている問題の一つ。
カトリック教会にピンとこない日本人でも、いわゆる幼児猥褻
なんていうのがしょっちゅうニュースで報道されているので嫌
になるほど。被害者が声を上げていても隠蔽されてしまう現実。
今作でも以前に被害者側から情報提供があったにもかかわらず、
放置されていた事実が判明する。それを拾い上げる側の態勢が
整い今回のように集中取材に励める環境がなければ、地方紙に
こんな大仕事は資金面でも労力面でも難しいことだろうと思う。
レイプだのいたずらだのがここまで日常的に蔓延っている宗教
を信心していることへの怒りも伝わるが結局は禁欲そのものが
人間の満たされない欲求を妨げ別の方向へ導いている気がする。
告白した神父が「悦びはなかった」と言ったことが印象的だった。
(キートン「ザ・ペーパー」以来の嵌り役。ラファロは今回も熱血)
ペンは剣よりも強し
まさにこの言葉を表した映画。
ドキュメンタリーということだが、
現代の日本のマスコミで、
これだけ情熱を持って記事を書いてる人が
どれだけいるのかなぁなんて考えた。
あまり宗教宗教言わない日本人でも、
カトリック教徒たちが教会に刃向かうなんて、
それこそ「正義」の心を持ち、
何が何でも暴いてやる!
という気持ちがないと無理だと思う。
いよいよ記事に、というタイミングで、
9.11が起こり、掲載に「待った」がかかる。
この辺りもリアル。
何年も放っとかれた記事より、
世界を震撼させたテロ事件。
しかし、外からやってきた新編集局長が、
なぜあんなにもこの記事にこだわったのか?
その辺りがもう少し詳しく
描かれてもよかったかも。
なんにせよ、終わり方がすごく好き。
新聞を読んだ被害者からの
鳴り止まない電話。
大人になると、暗黙の了解や
権力なんかがわかってくるけど、
それに歯向いたくなった。
情熱や葛藤が伝わらない
●現代版ダビデとゴリアテ。
カトリック教会というゴリアテをボストン・グローブ誌が撃つ。
まさにパンドラの箱。究極のタブー。
719年ぶりとなる、ベネディクト16世の自由意思によるローマ教皇の
生前退位は本件と無関係ではあるまい。
神父による性的虐待。
概要がわかった今となっては、教会の構造的な問題だろうと思う。
禁欲と独身性。
伝統という名の世間知らずさ。
教会の権威と厳格さ。
神父の性的虐待を追う記者。
やがて、それが氷山の一角にすぎないことがわかる。
確率論からすると、想像を絶する数字だ。
一方、グローブ誌は53%をカトリック信者の読者が占める。
それでも信念を貫き、真実を追う。
ターゲットも本丸に定める。
かつて、そのことを訴えていた人たちともう一度、接触する。
変わり者だと思っていたが、それは色眼鏡で見ていたから。
変わり者でなければ、噛みつけない相手だ。
信念を持って戦い続けた彼らと、
多岐にわたる詳細な取材で真実を世に問うた記者たち。
蛇足だが、その取材姿勢がリアルだった。
動揺して泣き出す被害者。
それでも口調は変わらない。
傾聴するが、同情しない。
冷静に、客観的に真実を追い求める。
それだけに、現場記者が感情を爆発させるシーンは刺さった。
スクープが他社に取られるかもってのもあっただろうけど、
いまも続く被害を1日でも早く止めたいという社会正義からだろう。
スクープ当日から電話が鳴り止まない。
電話の主は意外にも。
さらに蛇足だが、若い頃に新聞記者になろうと思ったことを思い出した。
こういう仕事がしてみたかった。
現実はそんなに甘くはないのだろうけど。
アカデミー賞はちゃんとした映画を選んでいる
渾身の取材
記者としての意地、映画人としての意地が感じられる硬派ないい映画だった。結末は必ずしも、ハリウッド的な爽快感はないけど、けして諦めてはいけないということをしみじみと感じさせるいいおわりだった。
とは言うものの、現実の世界では、事件を揉み消し続けた枢機卿が栄転していると言う、腐敗仕切った教会の風土は変わらないようで、人間の最も汚いところを、これもまたまざまざと見せつけられ、嫌な感じが残る。だけど、これが偽らざる真実であり、そのために今も硬派なジャーナリストやロウヤーたちが、被害者のために尽力してくれていると信じたい。
私になにができるか、そんなことも考えさせられる。
問題点の解決のために、個々の加害者にフォーカスを当てるのではなく、根本的な解決のために、組織としての問題点を浮かび上がらせる、これぞまさにジャーナリズムの真髄。今の日本のマスコミにも是非見てほしい作品だ。
スポットライト
先月観たのにレビューを書くの忘れてた笑
この作品はいろんな映画祭で賞をとって期待があった。映画評論家とかはこれ好きなんだろうなって思うような作品。だからつまらないって思う人もいると思う。とにかく名前が多く出てくるし笑
私的にはすごく興味深い内容だった。この時代は教会を訴えるなんてタブーだろうし、被害にあったのは子供なわけだから親絡みの問題もある。そして被害にあった子供たちは何かしら悩みを抱えてた。大人になってもまだ記憶に残っていて抹消したくても小さい子供のころにこんな体験をしたら忘れられないと思う。クレジットの前の出てきた世界中にそのような牧師がいる教会があんなにあったなんて信じられないと思った。悔しいのはそのうちの1人の牧師が元にいた教会を去り、イタリアの本家の教会に所属したこと。意味がわからない。
見所はラファロの演技。たくさん才能のある役者が出る中で私的にはラファロの演技が素晴らしかったと思う。彼の演技で自然と涙が出てきてしまった。
秩序がもたらす混沌
神の御使を糾弾した愚かな人間の話。
…と、書いても違和感がないほど「教会」は浸透しキリストの威光は絶大なのである。
驚いた。
2002年の話しである。
もっと昔の話かと思ってた。
携帯もインターネットも普及している。
で、その時の責任者はさらなる強大で強固な城へ匿われたと本作品は告げる。
目からウロコなのは、絶大なカリスマ性を維持していること。
神に従事している人間、または組織に間違いがあってはならない。もしくは、間違ってるはずがない。
そんな体裁を保つために隠蔽され続けてきた。
どうやら個人は糾弾できたものの、その組織ぐるみの隠蔽工作にまでは及んでいないようだ。つまりは…現在もまだ進行中の話しなのである。
作品は、終わりに近づく程ヒートアップしていった。取材者それぞれに異なる正義…いや、信念かな?そんなものがあり必ずしも同じ価値観ではない。だけれども、目標は一つ、そして揺るがない。どちらに神の意志が作用していたのかと思うほどだ。
センセーショナルな作品だった。
取材している記者達でさえ、盲目的に教会を崇めてた。だからこそ、裏切られたと思うのであろう…。
「教会はなんでもできる」
このシーンの後に911を引き合いに出したのは、やり過ぎかとも思うが…どうやら、その案件のために足止めをくらったのは確かなようだった。
派手ではないが、引き込まれるストーリー
ノンフィクション
期待して見に行ったら期待をうわまった!淡々とストーリーが流れていくんだけど、どんどん引き込まれていく。記者たちの色々な葛藤が描かれていて感情移入できる。ただ特ダネをスクープしたいだけじゃなくこの誰もが目を瞑ってきた事実を世の中に伝えたいとう気持ちが伝わる!最後の電話が鳴っているシーンはすごく良い。あと終わったあとの字幕がズシーンと心にくる。レイチェルマクアダムスは恋愛映画でしか見たことなかったけどこの人なんでも演じれるんだな!ますます好きになった。マークラファロは天才
飽くまでも実話を基にした社会派映画
特段、派手なシーンとかはありませんが、
真実に向き合って、正しい側へ進むのは
難しいけど、信念を持って貫き通した記者達の
努力は報われたんだと思う。
隠蔽した枢機卿が昇格して異動したという
最後の一文に衝撃を受けたものの…
パンフレット購入してみたら、カトリックの神父の職を剥奪等の処分をしたり、色々と改革したあとローマ法王が辞職(7年も経ってからだけど)したりと波紋は広がっていっているようで、少し安心した。
緊迫感は無かったが
予想外に露骨な取材妨害がなく、拍子抜けはした。地道な取材、これまで培ってきた信頼、信念、生まれ育った街への愛情など、淡々としたドラマだった。
事件を追いかけるよう指示したユダヤ人の新任編集局長、スポットライトの4人、それぞれの立場で関わる弁護士たち、どこにも悪役はおらず正義の味方もいない。
ラスト近く、これまで誰もこの事件に注目して大きく記事として取り上げた記者はおらず、主人公さえもかつて埋め草的記事として扱ったこと、それを主人公が認識した時の表情が印象的であった。
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