「静謐と爆発。」ディーパンの闘い 好きこそモノのヘタレなれさんの映画レビュー(感想・評価)
静謐と爆発。
パルムドールに期待をせずに観たら、ものすごい形で裏切られた一本。
血も繋がらないディーパン一家の異国フランスでの生活を通して、男女・家族・民族・貧富等々多すぎるほどの各種の「溝」で織り成す物語。
そこには希望も明日も無く、あるのは過去とただ今を生きるための惰性の現実。
それらをすべて飲み込む最後に訪れるカタルシスの凶暴な清々しさがとにかく圧倒的で素晴しかった。
前半の淡々とした描写が無ければ、このカタルシスは生まれないし。
後半の爆発が無ければただの鬱々とした所謂「カンヌらしい」作品でしかなかっただろう。
この構成の妙はさすが監督、と言うべきなのだろうか。
万人にお勧めはしない社会問題の縮図、だが少しでも関心があるならば観て絶対損はしない作品。
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