劇場公開日 2016年2月12日

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「家族を守る闘い。」ディーパンの闘い ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5家族を守る闘い。

2016年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

幸せ

2015年・第68回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した作品。
主人公ディーパンを演じたアントニーターサン・ジェスターサン
は実際にスリランカ内戦時には青年兵士、その後フランスに亡命。
決してイケメンではない彼の(失礼!)静かな表情や振舞いに却って
心が波立つ。平和に暮らすことだけを願いパリ郊外の集合団地に
越してきた彼と若い女と親を亡くした娘の偽家族3人だったが…。
高倉健の映画に似てるなど感想をお持ちの中高年の皆様の気持ち
がすごく分かる、静かであればあるほどいつそれが噴出するかと
気が気でない。彼がいい夫でいい管理人でいい人間であればある
ほど、あぁどうか、この幸せを壊さないで欲しい…と祈るばかり。
母国で家族を亡くし、もう銃撃なんか見たくないと怯える若妻の
気持ちも、学校に置き去りにされるんじゃないかと後を追う娘の
不安も、難民になったことのない自分には分かるはずもないのに
怖すぎて泣きたくなるのだ。この国は安全?なはずだったのに…。
別の移民達が起こす暴力や抗争が巻き込まれたくない人間を勢い
巻き込んで恐怖へ突き落とす。彼らとの優しい時間や会話があれ
ばこそ、後半の悲劇はどこへ逃げようが難民の闘いは終わらない
ことを指し示す。英国に行けば安全?いやそういうものでもない
だろうにと思うのだが、ディーパンの初笑顔には泣けてしまった。

(負けるなディーパン!暴力に屈せず、家族と平和を守り通せ!)

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ハチコ