「アラン・メンケン、迷わずアップデート」美女と野獣 zoeさんの映画レビュー(感想・評価)
アラン・メンケン、迷わずアップデート
91年版の実写化リメイクでなくアラン・メンケンのアップデート。新曲を入れたことで日常のなかにさりげなく通奏される「普遍的な何か」がより際立った。
序盤モリースの《How Does A Moment Last Forever》、枕元で物語を聞かせるような囁きと懐かしくて優しくて温かい眼差し。ベルと父親の繋がりがこの短いシーンでしかと感じ取れる。心のひだにそっと寄り添う宝物のような逸品。今後本曲は独立したマスターピースとして次世代そのまた次世代へと歌い継がれていくだろう。
野獣アリアは名曲《愛せぬならば》から《Evermore》に。前者が運命に抗うとすれば後者は静かに受け入れるスタンス。けして声高にならず心の奥底で密かに燃え続ける炎。全体のテイストはそのままながら内面にフォーカスを変えることで、歌い手への要望は高くなったものの聴き手には共感しやすくなった。歌唱場面の変更も良い選択。
《朝の風景》の『サウンド・オブ・ミュージック』へのリスペクトや、丁寧かつ豪華なカーテンコール(‼︎)に多幸感アップ。
何年・何十年か後、新たなスタッフ、新たなアイディアでアップデートを重ね、新たなサジェスチョンを投げかけてくれる、そんな作品となればいいと思う。
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