「技術のみで哲学無し」美女と野獣 祭秀海さんの映画レビュー(感想・評価)
技術のみで哲学無し
冗長で眠くなるシーンが多く、シーンやキャラクターについて整合性のなさから違和感が拭えない。まさか大好きな美女と野獣の映画で眠くなるとは予想していなかった。アニメ版の方を幾たびも見ているので正確な評価するが出来ないかもしれないが、映画単体としても退屈な出来ではないのか?
まず、ベル役の演技だ。ベルは美しいがいつも本ばかり読んでいる夢見がちな女性なのだが、エマワトソンの演技では冒頭シーンからかなりの割合で何故かドヤ顔だ。これが非常に違和感がある。彼女はフェミニズムの活動をしているが、多様性を売りにしたいディズニーがフェミニズムへの理解を示すために採用されたと訝しんでしまう。
ガストンについては俳優から変えた方がいい。知的にすぎる。彼を取り巻く環境も見せ方が雑で酒場でガストンを讃えるミュージカルシーンも迫力がないし、演出のせいで人望がない馬鹿が騒いでいるようにしか見えない。
違和感のあったシーンはベルと野獣さんの邂逅シーンではベルは全く怯えていないところと、言いつけを破りベルが野獣の自室でバラを見つけるシーンだ。というかなんか全部違和感があって語るのに疲れる。
この映画の中で素晴らしいのは家具(元人間)のデザインとミュージカルシーンの演出のみ、ほかのシーンはそのつなぎでしかない。そしてそのつなぎシーンは時間稼ぎのためか無駄が多い。飛ばしてみることをオススメする。
脚本の細部に美女と野獣の根幹を理解していないと思われる部分が多く、これで本当に満足しているのか?と言いたい。
ディズニーはこれからこういう映画が多くなるのだろうか?スターウォーズ8の時といい実写映画についてはCGや技術的な部分以外で作品の評価を落としている。過去の哲学を思い出して欲しい。