「話の根底が…」美女と野獣 あごけんさんの映画レビュー(感想・評価)
話の根底が…
アニメ盤では魔法をかけるだけかけていなくなった魔女の存在が明らかになったのは良かったと同時に奥行きが無くなってしまった気がする。
魔女があれだけ近くで静観していた事、物語の時期が花びらが散り始め野獣と城の家来達には時間がなくなってきていた頃という事を鑑みると…
全ては魔女(神なのか?)の仕組んだ事。
すなわち野獣たちが魔女に与えられた禊の時間を終えようとしている時期に、街にいい娘がいてこの子に魔法を解いてもらおう。それには敵も必要だ。都合のいい悪党がいる。ついでに村人たちも巻き込んじゃえ!
という風に見てとれないだろうか?
モーリスが道中城に迷い込むように魔女が木に稲妻を落とした。
一番許せなかったのはベルが自らの人生を切り開き、最後の花びらが落ちる寸前に愛の告白をし魔法の期限に間に合うという所が美しかったし、話の大前提であったはず。なのに愛の告白をしたのは花びらが落ちた後、野獣も家来も全員死んだ後になって、ベルの言葉を聞いた魔女が全てを生き返らせる。これでは話の根底から覆されてしまうし、全ては魔女のさじ加減次第でどうにでもなる。すなわち前著の通り、ベルが自らの人生を切り開き野獣を愛したようで全ては魔女の思うがまま掌の上で転がされてたという解釈ができる。
ガストンだって都合のよい悪玉いたよ!と敵役に充てがわれ無駄死にしたとすると彼だって被害者ではないか?
西遊記のラスト、全てはお釈迦様の掌で起こってたことなんだよ!インドはまだはるか遠い!のシーンを思い出してしまった。