「人間と自然の、対立と融和?」ジャングル・ブック りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
人間と自然の、対立と融和?
インド(かどこか)のジャングル。
オオカミに育てられた少年モーグリは、人間を敵とみなして復讐心を燃やすトラのシア・カーンに付け狙われる。
クロヒョウのバギーラは、モーグリ少年を人間の村に還すことを決意するのだが・・・
というハナシで、たぶん基本は「人間と自然の対立と融和」。
そこへ冒険譚を振りかけて・・・ということだろうと思う。
思う、と書いたのは、基本線が後半、かなりぶれてくるからだ。
モーグリ少年を人間の世界に還そうとする、意図はわかる。
そして、モーグリ少年が故郷であるジャングルに残りたいという思いもわかる。
さらに、モーグリ少年の知恵(文明の端緒)を利用して、お気楽に暮らしたいというクマの気持ちや、ジャングルの王になりたいという巨大オランウータンの気持ちもわかる。
けれども、である。
シア・カーンを倒すために、人間の村から「赤い花」と呼ばれる「火」(文明の象徴)を手に入れ、不注意からジャングルに火事を発生させて混乱に陥らせてしまい、さらにその混乱に乗じてシア・カーンを倒す。
そして、火事を消すことでジャングルの動物たちが一致団結して、平和が訪れた・・・
って、変じゃないか?
その上、モーグリ少年は、火事の原因をつくったことの意味を理解していないし。
自らが混乱の原因をつくっておきながら、その混乱を自ら収めようとしない(できない)。
そして、悪いトラ一匹を斃したら、万々歳って、あれれ、世界における米国にすごく似ている。
1967年のアニメ版は観ていないのでなんともいえないのだけれど、たぶん、後半は改変していると思われる。
むかし、ラジオでよく聴いた楽曲「ベア・ネセシティ」と「きみのようになりたい」が流れたときは、嬉しくなっちゃったけれど、この後半はまったくもっていただけない。