「原作が映画のガイドブック。」海賊とよばれた男 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
原作が映画のガイドブック。
出光佐三をモデルにした百田尚樹の原作を山崎貴監督が映画化。残念ながら、「永遠の0」ほどうまくはいかなかったようだ。
映画化のアプローチとしてはいろいろな方向性があったと思う。どこかのエピソードに特化するとか、どこかの時代だけを映像にするとか。
冒頭の空襲シーンは、山崎貴ならではだったのでそこを生かすというのも考えられたはずだ。
結局、原作をすべて映像化しようという企みになってしまい、原作を読んでいないものには疑問点が多々あるであろう映画になってしまった。
たとえば、近藤正臣はいったい何者だったのだろう。
武知(鈴木亮平)の役割は?
満鉄の油の実験と販路拡大の因果は?
イランの石油の契約はどのように行われたのか。
原作が映画のガイドブックになってしまうのは、いかがなものだろうか。
それこそ「戦争と人間」(山本薩夫監督)のスケールでの映画化を模索すべきだったのではないか。原作にはそれだけの力があったと思う。
「寄生獣」を2部作で映画化したのなら、こちらは3部作でもよかったのでは。
いろいろと不満の残る出来であった。
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