劇場公開日 2016年1月2日

「こんなクソを作って公開する意味あるの?」ヤクザと憲法 buckarooさんの映画レビュー(感想・評価)

こんなクソを作って公開する意味あるの?

2016年2月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

クソみたいな内容の、映画ともドキュメンタリーとも言えない、ヤクザのホームビデオ。

「わ〜、大阪のヤクザの事務所に入って映像撮れちゃった〜!!すごいすごい!!しかも西成〜!!俺たち名古屋から来たけど、やっぱすごいわ〜!!オーサカ!!」
っていうだけの内容。

怒りしかない。こんなものに時間を割いて1800円払ったことに、だ。

全くもって、制作者の制作意図がわからない。
まず、なぜヤクザの組を取材しようとしたのかの、きっかけとか意図が全くみえない。本気で、「ヤクザにも人権あるじゃん!」と言いたいのか。人権なんかあるわけないだろ!
だいたい、冒頭で、初めて事務所を訪れるディレクターがヘーコラ頭を下げてるのが気に入らない。

ヤクザの日々の生活を延々と流したところで全く興味ない。実話系週刊誌レベルでしかない。テレビ的な浅はかな作りだ。
全編中それぞれ2回、「組員の背中の刺青」と「第一関節から先が欠落した小指のアップ」のカットが挿入される。制作者に問いたい。なぜこのカットを入れたのか。入れた意図はなんなのか。

ヤクザの存在意義を語るのは、新入りの少々アタマの弱そうな若者の「社会の除け者の受け皿は必要」という発言だけ。なんじゃそりゃ。

カメラがまわっていることを承知の上で、組員たちの「ちょっとこの先はカメラ止めて」からの怪しげな取引場面や、ドア越しに聞こえる下っ端への恫喝&鉄拳制裁。なにこれ。まんまとヤクザの「目立ちたい」意識に加担してしまっているのか、はたまたヤラセなのか。このへんの「なんかすごいモノが撮れました!」感が、テレビ的で、本当にいやらしい。おもしろくもなんともない。

ラストの「ヤクザやめればいいんでね?」の問いに組長の「どこに受け皿がありますのん!?」
バカ。制作者もヤクザも、おまけにこんなもの観に行った自分もバカ。
しらねーよ!ヤクザ辞めたいんなら、今まで迷惑かけた人たちにゴメンナサイして、まずは町内の隅々まで毎日掃除するとか地元地域に奉公しろ!チャラチャラと名古屋のテレビ屋を飛田とか連れ回していい気になってんじゃねーよ!

本気で「ヤクザだって人権ありますよねー?今のやりかたおかしーですよねー」とか言いたい内容なら、制作者はバカ。
「と、みせかけて、ヤクザとかいう劣等な人たちを描きたいんですよー、我々報道に命をかけるテレビマンとしては」というのなら、なぜもっと彼らに突っ込まない?もっともっと「なんでヤクザやってんすかー?」としつこく問いただすべきだろ!
「現状を包み隠さず表現することで、観客に問いたい」とかいうのなら、観客に提示される材料があまりにも少ない。判断できん。ただただヤクザがバカにしかみえない。バカなんだけど。

ラストもどっかでみた映画みたいなカメラワークしてんじゃねーよ!まったく。

社会的マイノリティと、ヤクザは違う。完全に違う。
この内容では、社会に訴えるものは何もない。

buckaroo