「.」クリムゾン・ピーク 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅で鑑賞。タイトル通りな色味のオープニングロゴ("UNIVERSAL"~"LEGENDARY")から始まるゴースト・ストーリー。母の死の回想から14年後の本筋に入った途端、テンポやリズムのギャップに戸惑うが、ミステリー色が濃くなり始めると俄然面白くなった。“幽霊”の外観(あやふやでモヤモヤした輪郭やフワフワ浮く表現等)は、G.デル・トロが製作総指揮に着いたA.ムスキエティ監督『MAMA('13)』のと酷似していた。ゴア描写はマイルド目乍ら痛く壮絶なクライマックスが待っており、観る者を選ぶ。65/100点。
・仰々しく重厚なBGMやビジュアル等、ゴシック的な作り乍ら、至って現代風な捻りの少ないストーリーで、ミステリーやサスペンスとしてのストーリーテリングもお世辞にも褒められない。“ルシール・シャープ”役、J.チャステインの狂いっぷりは素晴らしいが、後半では更に凄まじい女の諍いを見せつけられ印象深い。モチーフやアクセントとして蝶が上手く処理出来無かった感は否めないが、恐らく監督の好きなモノで構成されたであろう幻想的なエンドロールがとても美しかった。
・本作はインスピレーションを『回転('61)』、『たたり('63)』、『エクソシスト('73)』、『オーメン('76)』、『シャイニング('80)』から得たと云うG.デル・トロ監督、『ヘルボーイ('04)』の135日、『パシフィック・リム('13)』の100日に次ぐ68日と云う短い日数で撮影が行われた。オリジナルで組まれ監督自ら、キャリアの中で最高だったと絶賛したセットだったが、撮影終了後に全て取り壊された。
・監督とM.ロビンスは『パンズ・ラビリンス('06)』の後、本作の第一稿を書き上げたが、スケジュールの都合で六年半以上、製作が遅れたらしい。
・T.ヒドルストンの“トーマス・シャープ”役は当初、B.カンバーバッチがキャスティングされたが、非公開の理由で降板した。亦、“イーディス・カッシング”役もE.ストーンにオファされたが、スケジュールの都合でM.ワシコウスカに変更された。
・“ルシール・シャープ”役のJ.チャステインは本作の為、ピアノを猛特訓し、劇中で全て演奏している。彼女は以前、G.デル・トロが製作総指揮をした『MAMA('13)』の際、ベース・ギターを猛特訓した。
・鑑賞日:2016年2月14日(日)