「自分の中の後悔に向き合うストーリー」映画 聲の形 サブレさんの映画レビュー(感想・評価)
自分の中の後悔に向き合うストーリー
いじめの加害者が自分の行いの愚かさに気づいて後悔しながら成長して、被害者に何かしたくてもどうすればいいかよくわからないお話。美しい映像に厚い人物描写が心に刺さる、観ていて結構つらい青春もの(?)。ちなみに原作は心に刺さるどころではない。
まず本当に人物描写が良い。リアル…と呼ぶかはわからないが、自分の軸を持った生きている人間が動いてしゃべっているように見える。多少展開が急だったり単なるむかつく人間に見えたりということも、なくはないが、概ね狙い通りの人物として鑑賞者に伝わると思う。
そしてその人物の軸、考え方はすべて己の弱さに起因しているように感じられた。自分を棚に上げて人を責めたり、開き直って感情を爆発させたり、過剰なスキンシップをしたり、生きるのがつらくなったり。一人だけ尺の都合でわからないまま終わってしまったけど…。
人物の軸となる弱さ、もっと具体的に言うと何でそんなことしたの?するの?という理由にはとても共感した。簡単に言えば逃げたいのだ。つらい現実からの逃避や安全地帯への逃避。
作中では各人の「逃げ」が問題を起こしていくが、それを否定的に描いているようには思えなかった。少しの強調はあったが、さらりと普通のことのように描いていた。
だからこそ、将也が今まで自分が後悔してきた人生に向き合うラストシーンには強く共感できる。
コメントする